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22年前の芸備線急行 <前編> 「終着駅」は、まさかの...  [車内放送]

<変態鉄>が46歳になって初めての記事は、久々の車内放送ネタ。

 「急行列車でございます。乗車券とは別に急行券が必要です」

というアナウンス、最近では聞く機会もなくなった。たぶん、全国の「急行列車」でこの放送が残っている列車、どこにも無いのではなかろうか。
先日の九州の話題でも、特急でさえ、ワンマン運転が基本となっており。そもそも、マイクを通して車掌さんがアナウンスする...ということ自体、珍しい場面になりつつあって。

今日から、2回にわたって、芸備線急行「たいしゃく」「ちどり」の車内放送をご紹介したい。

岡山県と広島県を結ぶ、160 kmあまりの長大ローカル線が「芸備線」。最近では、廃線に向けた協議体の設置をどうするか...で、ニュースに取り上げられる機会も増え、もしかしたら、知名度が急速に上がっているかも知れない。実に皮肉なこと。

「芸備」という路線名からは広島側が起点のような気がするが、起点となるのは、岡山県の新見駅(正式には備中神代駅)、そこから、中国山地の山間を縫うように西へ走り、広島県北部の中心地、三次を経て、広島へと至る路線である。全線単線非電化、広島口の区間(狩留家あたりまでか...)は、広島市内への通勤路線として乗客数も多いが、それ以北の区間は...

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【2002年3月15日】 芸備線・備後落合駅

そんな路線、22年前に訪れた時も岡山県側の区間は閑散としていたのは変わらないが、広島県内の区間には20年余前は急行列車が走っていた。
キハ58 + キハ28 のモノクラス編成、禁煙と喫煙の自由席2両、最低限の編成にはなっていたが、「みよし」(三次 〜 広島)、「ちどり」「たいしゃく」(備後落合・備後庄原 〜 広島)と3つの愛称、毎日4往復、三次〜広島間は急行列車が都市間列車として機能していた最後の区間だったのかも知れない。



キハ58系のDMH17Hエンジンの音と、「アルプスの牧場」のオルゴール、今日は、2002年3月15日、備後落合駅を出発した急行「ちどり」号の車内放送を。
急行の三次乗り入れの廃止が直前に迫った中の“葬式鉄”である。

……  ……

2002年3月15日(金)晴れ

快速「ムーンライトながら」号は、当時は当たり前の存在だった。<変態鉄>の旅の最初もこの列車であるケースが多く。

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【2002年3月15日】 津山線・岡山駅

名古屋から新幹線、そして、この日は岡山駅から、やはり、キハ58系急行「つやま」号で津山へ。そのときの模様、やはり、急行「つやま」号でも車内録音を敢行、以前、こちらの記事で紹介した。

津山駅では、わずか2分の接続、せっかくのキロハ組み込み編成も撮るような余裕もなく、地下通路を通って隣のホームのキハ120形単行の新見ゆき。

とにかく、中国山地の山の中を西へ西へ。小さな農村を結びながら、のんびりと走る単行の軽量ディーゼル動車。当時、20代の若者だった<変態鉄>には単なる退屈な時間だったようで。車窓もあまり記憶にない。のんびりくつろいでいたら、中国勝山駅から通学の高校生で満員になったのだとか。

新見駅でもテキトーに時間を潰して。ちょうど、この3月のダイヤ改正で特急寝台「サンライズ」号が上下とも新見駅に停車するようになる...とのことで、その横断幕があった...と。(当初は、倉敷〜米子間無停車だった筈)

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【2010年5月9日14時32分】 因美線・美作加茂-知和

やはり、同じオレンジ帯のキハ120形単行。線名は姫新線から芸備線に変わっても沿線の様子は...

いわゆる“県境現象”、人・モノの流れが一番少なくなるはずのところで。姫新線よりも一層、寂しい車窓。ところどころに、15キロ、20キロとクルマよりも遥かに遅い制限速度標識。さらに、そこから5キロほど低い雨用の制限速度が書かれていて。20数年前の時点で、既にJR西日本は、山間部のローカル線で列車速度を落とすことで保守作業を簡素化するのが一般化していたようで。当日の旅行メモ、若かった<変態鉄>もそのことが気になったようで。

確か、90年代にローカル線にキハ120形を大量導入する際、JR西日本は「軽量、高出力の気動車でローカル線のスピードアップ」みたいなことを広告に書いていたような...

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【2002年3月15日】 芸備線・備後落合駅

1時間半ほどで終点・備後落合駅に到着する。
1日2往復の急行列車が、この駅を始発駅として運転され、そして、芸備線と木次線の2路線が乗り入れるターミナル駅。

そう思っていたら、古びた駅舎は薄暗く無人、そもそも、駅前には商店らしい商店もなく。

駅前には西城川が流れ、それにかかる小さな橋を渡った対岸には国道183号線、道路沿いには何軒かの建物はあるものの、ひっそりと静まり返っており。

いや、このときは2度め...3度目くらいの訪問だった。最初の訪問時、これほどの「ターミナル駅」なら、駅周辺で食事をとる店を探すには困らないだろう...と思って訪れて、焦ってしまったことがあったので“免疫”はできていた。

まもなく。

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【2002年3月15日】 芸備線・備後落合駅

広島駅からの急行「ちどり」号として、キハ58系2連が到着。20分あまりの折返し時間で、そのまま、広島ゆき「たいしゃく」として出発する。
この日の編成は、

↑ 広島
 1 キハ28 2306  自由席(禁煙)
 2 キハ58 593   自由席

の2両編成。

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このときは、“周遊きっぷ”での訪問だった。急行券は車掌さんから補充券のものを購入して。

14:24、定刻で発車、すぐにオルゴールが流れて。
でも、ちょっと鳴っただけ。いや、むしろ、それがこの当時のキハのオルゴール、普通の鳴らし方だった。マイクの下に付いているゼンマイを回して「放」のボタンを押す...という単純な仕組みの“制御増幅器”。その、ゼンマイが“曲者”で、思いっきり巻いたつもりでも1コーラスの長さと合っておらず。必ず、メロディの途中から始まって途中で終わる仕様になっていた。

最近では、<鉄>へのサービスとして、予めゼンマイを調整しておいて曲の最初から流してくれた上で、途中で車掌さんがゼンマイを巻き直して最後まで鳴らしてくれる...のが一般化してしまい、こういう本来のスタイルでは聞けなくなってしまったのだが。

三次鉄道部のベテランの車掌さんによる好放送である。途中でトンネルに入るので、デッキでの録音では少し聞きづらい部分があるが...

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途中の各駅の到着時刻を読み上げているのも嬉しいところ。

三次から満席に近くなるのも芸備線急行の特徴だっただろうか。
新幹線の高架が見えてくると、終着・広島駅である。広電の路面電車に乗って市内中心部に行き、早めの夕食をとったのだった。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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