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2002.03.15 キハ58系急行「つやま」号にて <前編> [車内放送]

新春最初の記事は、車内放送のコレクションから。
なぜか、<変態鉄>は特急列車とか新幹線とかではなく、「急行列車」というのが好きだった。

でも、<変態鉄>が大学生になる頃には、大半の急行列車は快速に格下げされるか特急に格上げされるかで姿を消しており。
その中で、比較的運行距離が短い夜行便だけは、特急にしては遅すぎる...という理由などで生き残っていた。それでも、4人ボックスシートがズラリと並んだ「急行型」は徐々に姿を消していた時期で、昼行特急の間合い使用などの列車が多くなっていた時期だったかも知れない。

そんな中、JRグループ最後の昼行急行は津山線の急行「つやま」号。津山から岡山まで58 kmという短距離ランナー、ビジネス客向けだろうか、朝9時に岡山を出て、夕方に津山から岡山に戻る...という運用になっていた。

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【2002年3月15日】 津山線・岡山駅

キハ58形の中間に、半室グリーン車キロハ28形を繋いだ編成は“急行列車”の風格をちゃんと残していてくれたが、この録音の1年半後にキハ47系2連に置き換えられ、もはや、「急行料金が必要な快速列車」というだけの存在になって。2009年改正で快速「ことぶき」号に統合される形でなくなってしまう。



何度か車内放送を録音しているのだが、そのうち、日付が確認できた2002年3月15日の上り「つやま」号の車内放送をご紹介したい。

さて、そもそも、急行「つやま」号が急行列車、急行料金を必要とする列車だったというのも...
……  ……

東京に住んでいると分からないが、地方では「県下2番めの街」というのは、ある面で、火種のようになることが多いようで。
岡山県だってそう。県下最大の都市は、もちろん、県庁所在地の岡山市だろう。岡山駅には新幹線だって全便停車するし、四国方面への玄関口でもある。

では、第2の街は??

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【2012年4月7日12時00分】 岡山県津山市山下・鶴山公園

現状から言えば、隣の倉敷市ということになるのかも知れない。でも、歴史的には県北地域、いわゆる、美作国の時代からの中心だった津山市も捨てがたい。その津山は鉄道の要衝でもあって、1997年に智頭急行線が開業するまでは、岡山 〜 津山 〜 智頭 〜 鳥取というのは陰陽連絡のメインルートの1つでもあり、急行「砂丘号」が1日5往復程度運転されていた。でも、「スーパーはくと」号が走り出すと、その津山経由の津山線・因美線ルートは一気にローカル線に。

急行「砂丘」号の代わりに快速「ことぶき」号が誕生し、一部列車には指定席も設けられた。でも、急行列車が頻繁に発着する街だったのが、キハ47系2連の「快速」では納得できない...と。地元の方に伺うと、当時、倉敷駅には山陽本線の特急寝台列車の他、伯備線「やくも」号も停車しており、それも津山の人たちのライバル心に火をつけることになったとか、ならなかったとか...。

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【2016年1月16日13時40分】 山陽本線・瀬戸-上道

1997年改正で岡山〜鳥取のルートが智頭急行線経由の特急「いなば」号に移ることになったとき、廃止となるキハ58系急行「砂丘」号の一部車両を鳥取から岡山に転属させ、それを使って設定されたのが急行「つやま」号だった。当初は、グリーン車連結の快速列車として智頭駅まで乗り入れていた。
この当時に一度、乗車したが3両編成の車内は閑散としており。

まもなく、智頭乗り入れは中止され、岡山 〜 津山間を1往復するだけのローカル急行になって。運転距離59 kmというのも異例の短距離急行である。
でも、この存在で津山駅も「急行列車の発着駅」という面目だけは何とか保たれ...

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【2010年10月25日11時10分】 JR西日本・津山鉄道部気動車分室付近

ただ、快速用のキハ47系は<変態鉄>と同じ昭和50年代前半生まれ、対する急行型キハ58系はそれより20年近く前の製造。47系の方が速いスジが引けてしまうので、急行「つやま」号の方が快速「ことぶき」号よりも1〜2分所要時間が長い...という“逆転現象”も起きていたのだった。


2002年3月15日(金)曇のち晴れ

前夜の快速「ムーンライトながら」号で出発したと、当時の旅行記録が残っており。
名古屋駅で新幹線に乗り継いで9時前に岡山駅に到着。津山線の発着する16番のりば(当時)へ向かったのだった。

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【2002年3月15日】 津山線・岡山駅

9:15頃、キハ58系3連が入線。

この「つやま」号のキハ58形、以前の乗車時は写真を撮ろうとしても前面の種別幕は白幕のまま...何だか国鉄末期のような仕様でガッカリすることが多かった。やはり、白地に赤文字で「急行」と表示されているのが一番、引き締まって見えるのだが...

ちょうどこの時期、JR西日本に残っていた国鉄型車両は方向幕の変更が行われていたようで。
旧式の車体には何だか不釣り合いなフォント、黒地に赤文字の「急行」になって。

いつも通り、3両編成の列車は中間のキロハ28形のグリーン席だけが座席指定、ほかは全部、自由席である。

 ↑  津山
 (3) キハ58 7211  自由席 【喫煙】
 (2) キロハ28 103  自由席/グリーン
 (1) キハ58 7210  自由席

という3両編成は、「砂丘」号の頃にリニューアルされて、白地にパープルと緑の塗り分けになっており。
車内も0系新幹線の発生品だと思われる簡易リクライニングシートに交換されており。
グリーン車が無人なら、(許可をとって)そこで録音させてもらいたい...と思っていたら、予想に反して2名の乗客。急遽、デッキに出て録音したのだった。

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【2010年11月21日11時05分】 津山線・建部-福渡

もちろん、それほど混雑することもなく。乗ってしまえば、ちょうど1時間のキハ旅である。

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さて、その車内放送。岡山駅での閉扉から録音している。オルゴールに続いて「津山線、急行つやま号の津山ゆきです」から始まる放送をデッキで録音した。

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【2015年8月2日8時24分】 水島臨海鉄道水島本線・倉敷市駅 

「中ほど2号車の後寄り、1番から6番まではグリーン車です」、キロハ28形が連結されている証である。
「急行でございますので、普通乗車券の他に急行券が必要です」の放送も懐かしい。

放送の前後に「アルプスの牧場」のオルゴールが短く演奏され。最近では、途中でゼンマイを巻き直して1コーラス演奏してくれる車掌さんが多いが、当時はそんなこともなく。ゼンマイを一巻きしてから放送ボタンを押したとしても、1コーラス分の長さにはあっておらず。
メロディの途中で始まり、途中で止まるのが普通だった。

……  ……

当時、MDを使っていた。そのときに一番難しかったのはマイクレベルの設定。小さくしておけば無難だが、何だか迫力のないサウンドになるし...
だからといって、大きめに設定すると録音中、インジケータが振り切れて「OVER」の表示になり、場合によってはそこで録音がストップしてしまう。いや、そうでなくても聞いてみると明らかに音が歪んでいるのである。

この録音、実は途中で「OVER」が出た瞬間があって、そこで集中力も切れて...。
“敗戦処理”のつもりで最後まで録音していたのだった。でも、20年ぶりに聞き直してみると、意外と悪くないか...と。

……  ……

若い頃、「ダメだぁ...」と思ったり「失敗」だと判断していたことが、齢を重ねていく中で「あのとき、やっておいて良かった」と思えることもある。
そんなことを思いながら、元日の午後を自宅アパートで過ごす<変態鉄>だった。

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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