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2021/10 倉敷へ、鳥取へ(29)はやぶさ <後編> [3セク鉄道「鉄印」の旅]

一口に「無人駅」といってもいろいろとあって。この隼駅は、実は駅前の商店に乗車券の販売を委託しており、分類上は簡易委託駅という扱いになるらしい。でも、そういう法令上、制度上の分類は、ここでは置いておいて。趣味的...というか<乗り鉄>としての観点から。開業時から駅員無配置で設置された駅なら、幅の狭い片面ホームがあって、その中央付近に簡素な待合室というか小屋のようなものがあるだけ...が多いが、多くは、かつて昭和の頃までは駅員さんがいて手小荷物輸送などもあって、貨物の受付もしており...
それが合理化の流れで無人化され。古い立派な駅舎は、その窓口部分がベニヤ板などで塞がれ...というパターンが中心だろうか。地域の人たちがボランティアで清掃などをしており、駅舎内のベンチには地域の人がおいてくれた座布団などがあって...というところもあれば、荒れ果てるに任せて...というところも。
仮に古い駅舎が残っていても、そんな感じで荒れ果てていれば、<鉄>としての趣味的関心は一気に減衰して...。でも、駅舎が残っていればそれだけで、その古き良き鉄道情景が甦ってくるか...といえば、そうでもなく。

鉄道情景には駅舎や車両だけでなく、“小物類”が大切である事に気づくのである。

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【2021年10月22日12時57分】 若桜鉄道・隼駅

そういう意味もこめて、この隼駅というのは、単にバイクの名前といっしょだから、でも、保存車のある駅だから、でもなく、<鉄>として大きな魅力を感じたのである。
その小さな駅舎の周辺を写真の羅列でご紹介したい。
……  ……

2021年10月22日(金)晴れのち雨

“建築”に関しては、まったく知識もなく...。でも、この駅舎の佇まいには惹かれるのである。

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【2021年10月22日12時22分】 若桜鉄道・隼駅

12系客車を背にして、ホームに面した駅舎を見れば、何だか懐かしい感じの木造家屋のような。どこにあってもおかしくない、どの地方の風景にも溶け込む、落ち着きを感じさせる駅舎である。

ホーム上のベンチは修繕した跡が見て取れるが、その手前に置かれているのは...

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【2021年10月22日12時23分】 若桜鉄道・隼駅

白字で「昭和三十七年三月」とある。この秤がやって来た日だろうか。当時は、こういう小さな駅にも駅員さんがいて、チッキ(手小荷物輸送)があった...ということだろうか。
上部のアームのところのおもりを動かして重さを測るタイプ?? 車輪が付いていることからも、移動させながら比較的重いモノを計っていたのだろうか??
このあたり、当時をご存じの方がいらっしゃったら、ぜひ、ご教示頂きたいと願うばかり。

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【2021年10月22日12時25分】 若桜鉄道・隼駅

と、気になって後ろ側も撮っていた。

ぬぁんと...、この秤、隼駅の備品ではなく隣の因幡船岡駅のものだったみたい。

そして、もう1つ。

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【2021年10月22日12時23分】 若桜鉄道・隼駅

こちらの方が何だか“近代的”な感じである。載せて針の指す目盛りを読むだけ。木組みの枠に載せられているのがわかる。

コロナ禍で“客貨混載”とか、往年の荷物輸送に近い形のものが話題になるが、昭和の頃、<変態鉄>が生まれる少し前の時期までは、列車が人だけではなくモノを運ぶのにも“主役”だった...それを偲ばせるアイテムである。

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【2021年10月22日12時25分】 若桜鉄道・隼駅

その秤の置かれた横には駅務室に通じるドアが。列車の時刻が近づくと、ここの扉がガラガラッと開いて、駅員さんがホームにでて到着する列車を...
そんな写真の中でしか見たことのない情景が...

現在は無人化されており、土休日を中心に売店のような形で活用されているみたい。ベニヤ板で塞がれているのとは違って、駅舎がいまも“生きている”というのは嬉しい限り。

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【2021年10月22日12時24分】 若桜鉄道・隼駅

反対側から、若桜側から見た駅舎。手前の建物は壁の色こそ揃えてあっても明らかに新しく。
これが確か、トイレだったような。さすがにこれだけは昔のままでは...

それにしても、駅舎の佇まい。もう何もコトバが出てこない。

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【2021年10月22日12時14分】 若桜鉄道・隼駅

さて、再び駅舎の中へと戻ってみれば...

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【2021年10月22日12時33分】 若桜鉄道・隼駅

その一角に駅ノートが置かれており。
パラパラとページを捲ってみれば、列車で、バイクで、全国各地から訪問客が...

当初、プランを考えるときは「長過ぎ!!」と思っていたこの駅での40分あまりの時間、実際にこの駅に降り立ってみると、あっという間だった。
今度は季節を変えて訪れたい...と思うところ。(つづく)

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伊豆之国

さっきまで見ていたTV番組で、「開かずの金庫を開けろ」というのがあり、その中で若桜鉄道が出てきました。
「若桜鉄道」と聞いて、「ハッ」と思い出したのがこのブログ。番組に出てきたのは隼駅ではなく丹比駅でしたが、駅の造り、雰囲気は似たようなもの。ホームには5番目の写真のような「秤」も置かれていました。
で、肝心の「開かずの金庫」ですが、話を聞いて町長まで駆けつけるという「一大事」の中、悪戦苦闘の末に扉が開くと、残念ながらほとんど空っぽに近く「金目」のものは入っていませんでしたが、開業当時(昭和初期)の貴重な書類が出てきました。
by 伊豆之国 (2022-01-21 22:14) 

ferrum_queserasera

伊豆之国さん

コメントありがとうございます。
そして、このようなブログを思い出していただき、嬉しく思います。本当にありがとうございます。
さて、若桜線ですが、ここ隼駅だけでなく、お話の丹比駅をはじめ、古い駅舎が大切に使われているところが多く、趣味的にも非常に魅力溢れる路線だと思います。
金庫から見つかった文書もきになります。開業当初の沿線の様子や若桜線をとりまく状況がわかる資料であれば、金額にはできない価値があると思うのですが...
今後とも、よろしくお願いいたします。

by ferrum_queserasera (2022-01-22 09:33) 

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