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菜の花咲く線路際 ~ 2001年春の予讃線を ~ [アナログ写真保存庫]

昨日、ご紹介した2001年3月、いまからちょうど20年前の予讃線の車内放送。
そのときの特急「宇和海」号で向かったのは宇和島だった。これにて
予讃線を完乗、引き続き、予土線、土佐くろしお線と“攻めた”のである。

その前日も、実は同じ「宇和海3号」に乗車していた。

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【2015年2月13日12時23分】 東京都日野市・京王れーるらんど

このときは途中の内子駅で降りたのである。
古いネガを取り込んでいると、だんだんそのあたりの記憶が甦ってきて...

それにしても、ネガの褪色が激しくて。
当時、量販店で10本セットで...1,000円前後だっただろうか、ISO400の
ネガカラー、撮った後は近くのスーパーでDPEをお願いする...
本格的にカメラをやっていた皆さんからは鼻で笑われてしまいそうな...

同じブランドのフィルムを同じ現像所で...
ネガアルバムに入れて、ほぼ同じ場所で保管していたもの。
それでも、劣化が酷いものといまも鮮明な色が残っているものがあって。
このあたり、“順番通り”とならないのが不思議なものである。

昨日に続き、褪色の激しい見づらいネガで恐縮だが...

それにしても、四国の話題なのにトップ写真が京王線の旧型車って!?
もはや、何かが狂っている<変態鉄>...と思わせて、これは実は...
……  ……

2001年3月22日(木)晴れ

昨日、ご紹介した特急「宇和海3号」の車内放送。実は2日連続で録音に挑戦、
2度目にして“成功”したのだった。

前日も「宇和海3号」、同じように松山駅発車前から最前部デッキに陣取って
マイクをスピーカーの方に向けて。
その辺は同じ。でも...

車内放送が始まったあたりで、けたたましいタイフォン、
その瞬間、車内には大きな衝撃。レコーダを見ると、もちろん「OVER」
の表示、録音はエラーとなって終わってしまったのである。

石手川の堤防道路だったと思うが、クルマの直前進入があったということで
非常ブレーキがかかったのである。
車掌さんも車内を走って最前部の運転台へ。幸い、数分間の確認の後、
運転再開となったが、録音はみごとに失敗だった。

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【2001年3月】 予讃線・松山駅

それが、3月22日のこと。
この日は宇和島まで乗り通さず、内子駅で下車したのだった。

予讃線、松山を出て宇和島までの区間はちょっと複雑。
伊予市を出て、伊予大洲まで路線図は袋状になっていて2つの路線がある。

時刻表の索引地図だと「幹線」の黒線で描かれる予讃線が、
その“袋”の下側の部分の3駅分だけ「地方交通線」の青線で描かれる。
“予讃線”は海沿いを走っていて、内陸に“内子線”というローカル線。
でも、特急は海沿いの予讃線ではなく、内陸の内子線を経由する。

そう、古い路線ではよく見られる現象。土木技術水準が低かった時代に
建設された路線ほどクネクネと...、特にここの伊予灘沿いの区間は
地滑りのリスクの高い地質と言うことで、内陸に短絡線を建設することに。
その際、もとからあった盲腸線の“内子線”を延伸・付替えすることで
伊予市(向井原)-伊予大洲の新線としたのである。

「乗りつぶし」...つまり、全線踏破を目標にしていた学生時代。
こういうところは、2度訪れないといけない“困りもの”ポイントだった。

ということで、内子へ。

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【2001年3月22日】 喜多郡内子町内子・内子座

いまなら「沿線でキハを...」となるはずだが、この日、<変態鉄>が
内子駅から訪れたのは「内子座」だった。

大正天皇の即位を記念して建設された木造2階建ての芝居小屋である。
当時も内部を見学することができて。舞台など素人目にも分かる豪華な
つくりだった。でも、身長183 cmの<変態鉄>、薄暗い内部で
思いっきりアタマをぶつけたのをよく覚えている。

でも、もちろん、<鉄>である。

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【2001年3月22日】 予讃線・内子駅前

駅前にはC12型蒸気機関車が保存されていて。

そう、先日、真岡線で見たあの機関車と同型。
ちょっとした“違い”は煙突の上側が膨らんでいるところ。
「回転式火の粉止め」だと思われるが...、蒸機のことに疎い<変態鉄>、
もっと細い...煙突の一回り太いくらいの直径の円筒型を想像するのだが、
小ぶりなC12だと特に目立ってしまいそうな円錐形なのである。

この機関車、調べてみると1939年(昭和14年)に日車名古屋で製造、
新製配置は仙台で、以下、小牛田、長町(← 仙台の隣)、会津若松、福島...
と東北各地を渡り歩き、1970年5月に廃車になるのだが、最後の最後の
10ヶ月ほどだけを東北を離れて宇和島で過ごしている。
宇和島で廃車になったので、たぶん保存機に選ばれたのだろうが...

たぶん...

たぶん、だが、内子から再び特急「宇和海」に乗って伊予大洲に進んだはず。
これで“内山線”を完乗して。

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【2001年3月22日】 予讃線・伊予長浜駅

海沿いの元来の予讃線を松山に向かって。

そう、この当時、あまりマジメに記録を残していなかった。
もしかしたら、このときのメモは実家の引き出しの中の“発掘作業”をすれば
見つかるかも知れないが...

それでもブログを書くのに古いネガをスキャンしていると、点と点、断片的な
記憶が...泉が湧き上がるように、忘れたはずの古い記憶の中から出てくる。

伊予大洲駅からの松山ゆきはキハ32形ワンマン。乗客はわずか。
このキハ32形、一応、“国鉄型”ではあるものの、分割民営化が決まった際、
“三島会社”と呼ばれた北海道、四国、九州は経営環境が非常に厳しい...と
当時から言われており、運行の合理化を進められるよう国鉄最後の予算で、
将来のワンマン運転などを見込んだディーゼル動車が投入された。

同世代の第3セクターの車両と変わらない車体。トイレも無く、乗務員室も
ワンマン化を見込んだ半室形式の車両だった。

駅名は写真を見て「伊予長浜」と分かったが、ここで反対列車と交換待ち。
ホームに下りて写真を撮っていたら、運転士さんに話しかけられて...。
(ここには書かないが)会話の内容まで思い出されてくるから不思議なもの。

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【2001年3月22日】 予讃線車内

3月下旬、だいぶ暖かくなっていて。沿線は菜の花が満開だった。
当時の自分としては珍しく、走行中に後部貫通扉の窓越しに線路沿いの
菜の花を撮っていたのだった。

<鉄>として、お恥ずかしながら...

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【2001年3月22日】 伊予鉄道郡中線・郡中港駅

ぬぁんと、JR予讃線の伊予市駅の駅前に伊予鉄の郡中港駅がある...という
事実をまったく知らなかったのである。

ホームに停車していたのは、いまも変わらぬ京王...というか京王帝都からの
譲渡車である。

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【2001年3月22日】 伊予鉄道郡中線・郡中港駅

ことでん1100形と同じ、一見すると京王5000系のように見えるが、
その“違い”がおわかりいただけるだろうか。

そう、車体幅。裾部の絞りがあるか無いかの違いである。
2両編成の反対側の車両、松山市側の車両を見てみると...

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【2001年3月22日】 伊予鉄道郡中線・郡中港駅

こちらが“本当の顔”。そう“グリーン車”2010形なのである。
<変態鉄>が知っているのは井の頭線は“ステンプル”、京王線は臙脂帯に
なってからの時代である。“グリーン車”は<鉄>な本の中で見ただけ。

この写真、ブログを書くのに見直していて気づいたのだが...
道路の向こう側に、キハ185系が写っていたのである。20年目の大発見。

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【2015年2月13日12時23分】 東京都日野市・京王れーるらんど

この伊予鉄820形の前身が京王帝都2010形。いま、グリーン車仕様のまま
京王では1両だけが保存されている。

……  ……

それにしても、このオレンジ濃淡の塗色こそ、伊予鉄電車に似合っていた
と思うのだが...

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【2015年10月28日12時01分】 伊予鉄市内軌道線・西堀端電停付近

最近は電車もバスも、とにかく、このオレンジ色塗り潰しの新色になって。
う~ん、何だかなぁ...
(※ 意見には個人差があります)

それにしても、ここから松山市駅に戻って、同じ伊予鉄の市内軌道線で
道後温泉のホテルに戻ったと思うのだが...

そこの部分はなぜか全く記憶が無いのである。

ちなみに...

先ほどの写真の820形、この後、井の頭線3000形が転入して置き換えられる。
そこで1960年台に作られたこの電車も運命を...と思ったら、ぬぁんと、
一部は生きながらえて、何と何と、“第3の車生”を歩んでいる。

コロナ禍が落ち着いたら、その姿を撮りに行きたいと思っている次第。

20年前のネガを引っ張り出してきたら...
ご紹介したかった車内放送のことを書いているうちに、どんどん思い出が...

ということで2夜にわたってご紹介した次第。

あぁ、若かりし頃の、あの時代...

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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