2023年正月 阪堺電車を撮りに関西へ（１０）

東京の人間にとっては「浜寺駅前」と言われても、どこなのかちょっとわかりにくいのだが...
堺市の南側、大阪湾に面した海岸の街である。古くは砂浜海岸だったようで夏場は海水浴客で賑わったほか、このエリア、別荘地としても知られていたそうで。阪堺電車は堺市内に入って、中心部を紀州街道上の併用軌道（センターリザベーション）で抜けると、最後は南海本線を跨いで海側に出て。
その大阪湾の海こそ見えないが、広大な浜寺公園の入り口の手前に終点・浜寺駅前電停があって。


【2023年1月3日9時39分】　阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

何とも言えない懐かしい佇まいの駅舎は、営業時間こそ短くなったものの乗車券発売所として活用されており。

でも、そんな佇まいも間もなく見納め。
並行している南海本線の高架化事業の進展で、船尾電停との中間にある南海線をオーバークロスするところ、地平を走っている南海線を高架で越えているが、ここが高架化のネックになるということで、紆余曲折あった末、まもなく単線の新線に切り替えとなり、南海線の東側を走るように変更される。

まもなく見納めとなる浜寺駅前電停周辺を観察しに行ったのだった。

……　　……

2023年1月3日（火）晴れ

御陵前電停を出ると堺市内南部の住宅街をゆく専用軌道区間。直線区間をスピードを上げて駆け抜け、石津川鉄橋を渡れば、まもなく電車は急な上り勾配。
一気に南海本線の線路をオーバークロスすると道路を挟んで浜寺公園の緑が見えてきて。


【2023年1月3日9時36分】　阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

地平に戻ったところが浜寺駅前終点。
降車ホームはポイントの手前、上屋もない併用軌道区間のような感じの...

自分が乗ってきた電車を撮ったのだが、これだとホームに停車中のものとも気づかないくらいな。


【2023年1月3日9時37分】　南海電鉄本線・浜寺公園駅

駅舎の軒先が乗車ホーム、そこを通り抜け、左に入ったところ。正面は現在、高架工事たけなわ。
南海本線の浜寺公園駅は、現在、プレハブの仮設駅舎。でも、東京駅舎と同じ辰野金吾の設計である旧駅舎は残されており。もちろん、いまは入ることができないが、高架化完成後は活用される予定だった筈。


【2023年1月3日9時38分】　阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

南海本線の駅舎を背に西を向いて立てば、100 m程先が浜寺公園の入り口。その手前、右手に見える古びた小さな駅舎が阪堺電車の浜寺駅前。

好ましい駅舎だが、まもなく使命を終えることになっている。


【2023年1月3日9時40分】　阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

浜寺駅前では15分ほど折返し時間がとられており。先ほど、ここまで乗ってきたモ703号車が、駅舎側の乗車ホームに停まって客待ちしている。
そう、ここ片面ホームで、進行方向右側、反対側の中扉から乗車する仕組み。

そして、この電停のポイント付近だけ、なぜか石畳軌道が残っているのである。歴史のある路線だけに、昔は併用軌道区間は石畳軌道だったのだろうが...


【2023年1月3日9時46分】　阪堺電気軌道阪堺線・船尾－浜寺駅前

さぁ、後続の電車が近づいてきた。「堺トラム」である。
ちょうど南海本線をオーバークロスして、浜寺に向けてラストスパート、下り勾配にさしかかっている。
いま、堺トラムがいるあたりに、かつて「海道畑」という駅があって。

戦時中に休止になったとか、戦後も営業していたとか、いろいろな説があるが、ハッキリしたことはわからず。今度、この駅跡を訪れる予定になっている。


【2023年1月3日9時47分】　阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

さぁ、「堺トラム」がやって来た。そろそろ、我孫子道に戻ってモ161形車の出庫を“見張って”いないといけない。

……　　……

やはり、多くの＜鉄＞が居て。つまり、まだモ161形車は動いていない...と直感して。


【2023年1月3日10時24分】　阪堺電気軌道阪堺線・我孫子道－安立町

安立町側の陽当たりの良いストレートで頻繁に発着する電車を撮りながら、時間を過ごしたのだった。
「チャギントン」のラッピングが剥がされた、モ505号車は、意外にも「オリジュウ」の広告車になって。新たな装いになったモ505号車を。（つづく）

（※）撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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