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2021.11.28「キハ532号40周年 体験&撮影会」(10) [関東鉄道常総線・竜ヶ崎線]

<変態鉄>に似合わず、記事内容が堅すぎるのか、説明がダメダメなのか...閲覧数が全然伸びないこのシリーズ。でも、竜ヶ崎線キハ532号車の話題、さらに続けてみたい。
「読まれる記事を書く」ではなく「書きたい記事を書く」というのが自分のポリシーである。

再三“キハが好き”と言っている<変態鉄>だが、走行機器については全然、分かっていなかった。それらについて詳しく聞くことが出来て、そんな自分のための“備忘録”的な意味合いもあって、長々と続けてきたのである。

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【2013年12月30日9時35分】 関東鉄道竜ヶ崎線・入地-竜ヶ崎

そのキハ532号車の車内、自分一人でボーーっとしながら乗っているだけでは絶対に気づかない“見所”がたくさん。その説明を聞きながら記事にしようとも、なかなか写真が見つからず...
8年前の年末、キハ532号車の運転日である毎週土曜日、それが仕事の公休日と重なった機会に撮りに訪れたときのもの。側面が黒つぶれして、さらに、毎度のピン甘。写真としてはダメダメだが、見たい部分が写っている数少ないカットだったので...

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【2021年11月28日9時57分】 関東鉄道竜ヶ崎線・竜ヶ崎駅

これと、この日、竜ヶ崎で撮った1枚、その側面、客扉周辺を見比べて頂きたい。

……  ……

2021年11月28日(日)晴れ

一般的に車両の両側面は同じ見た目になる筈だが...

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今日のトップ写真、8年前のキハ532号車は竜ヶ崎ゆきの左側、ホームの無い側の車体側面が見えている。
見づらい写真ではあるが、赤い丸印のところ。これは国鉄型と同じで、主にキハが走る路線というのはもともと蒸気機関車列車が中心だった。
機関車の後に連なる“客車”は、現在残るものは床下に冷房電源用のエンジンを持っているが、もともとは、大した機器は付いておらず。だからホームも低くて十分だった。

その運転をキハで置き換える際、キハは床下にエンジンを持っており、そう簡単に床面高さを下げるわけにはいかず。国鉄型キハも、当たり前のように、ドアには踏み段、ステップが付いていた。
客扉は当然、下面、ステップの下の段まであって。

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【2021年11月28日9時57分】 関東鉄道竜ヶ崎線・竜ヶ崎駅

でも、この日の写真、こちらはホームのある側だが、こちらはステップの上のラインとドアの下端がほぼ揃っているように見える。

自分は竜ヶ崎線に来ると、入地-竜ヶ崎間でカメラを構えることが多く。そうすると線路は、ほぼ北西から南東への一直線。キハ532号車の運行時間帯、ホームの無い側面には、まず光が回らない。
だから、ステップの違いが分かる写真が...

でも、この差は、8年の時間差と言うわけでは無く。

「こちらの段は車両をつくったときからの高さ、こちらは若干、浅くなっていて...」

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新製当初の低いホームに対応した踏み段、のちに佐貫駅と竜ヶ崎駅のホームの嵩上げが行われたのに合わせて、ステップを一部、埋めて、ドアの下部を切って段を上げる改造を行ったという。
そう、どうせホームのない側は関係ないので、当初の高さのまま、残されている...という。

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キハ2000形にも踏み段は残っているが、一方の常総線はホームの嵩上げが進み、ステップを撤去している。
竜ヶ崎線で踏み段が残されているのは入地駅、「お客さんが少ないので...」なかなか駅の改良工事を行う機会がなく、そのため車両も、低いホームに対応した仕様にしておく必要があって。
ただ、ホームの嵩上げも一度で済むわけでは無くて、基本的にホーム高さが車両の床面より高くなる、“逆段差”になってはいけない規則があり、その関係で車両のステップを削る改造とホームの嵩上げ工事を順番に少しずつ進める必要があるとのこと。

もし、今後、入地駅の改良をすることになれば、バリアフリーの関係もあってホームの嵩上げは必須となり、その際にはキハのドアは再び下を切断してステップを埋める改造が行われる...筈だが、入地駅の利用状況から考えて、具体的にその予定を立てる段階ではないとのこと。

このキハ532号車ならでは...の特徴は他にもたくさん。

「冷房を付けるのに悩んだんですね」

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サブエンジン方式で冷房化され、その車内は、これは他社でも見かけるが、荷棚のところに白いクーラーユニットが目立っており。

通常は、この白い冷房機は千鳥状に配置されるものだが、前後で逆向きに運転台が置かれる珍しい構造のため、千鳥配置にしてしまうと、必ず、どちらかの運転席には冷風が届かなくなってしまって。
(最前方の冷房機から天井伝いに風道が延びていて、それが乗務員室仕切りを越えて運転席側に風を送り込んでいる)

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“左右右左”のような配置にしたとのこと。この写真の左端に確認できるが、最前方と最後方が同じ側になったため、電気配線や冷媒の通るダクトが他車に比べて非常に長いものになってしまっている。
やはり、冷媒の通り道でもある配管は短ければ短いほど漏れなどのリスクを抑えられる訳で。この車両の他にはない特徴になっているのである。

……  ……

「いわゆる、鉄道でのワンマン運転は初めてだったので、規則などが無くて」
50年前、竜ヶ崎線は普通の旅客鉄道として初めてのワンマン運転が開始され。当時、路線バスや貨物列車、当日のお話には無かったが路面電車ではワンマン運転が始まっており、ワンマン自体が初ではなくても、(軌道では無く)鉄道の旅客運転でのワンマン運転はココが初だった。

最初期のワンマン車だったので、いまどきのワンマン列車の装備は付いておらず。また、その装備も無かったので...

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車内で何らかのトラブルが発生したときのことが問題になったと。
運転士自身の不調に備えて、デッドマン装置(運転士が足下のペダルから足を離すとブザーが鳴って非常ブレーキがかかる)を採用したのもそのため。
通常なら、車掌室にある引き紐がブレーキに繋がっていて。その車掌弁を操作することで緊急停止させるが、ワンマンに際してデッドマン装置がその代わりになった。

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そして、トラブル時には列車を緊急停車させて運転士が対応にあたることになったもの、その車内の状況をどうやって把握するか!?

非常通報装置を設置したのも、当時としては異例だったようで。
規則も前例もないので、この装置が車内に6箇所、各扉脇に設置されており。でも、ビルの非常ベルと同じような構造、実際にボタンを押して鳴らしてみてくれたが、
何だか懐かしい感じのブザーが、ぶ~~~~~っと鳴るだけのシンプルなもの。
兎に角、前例のない中での導入だったため、決まった仕様などもなく、だから6箇所も設置したのだとか。

……  ……

座席を一部、外した状態でドアエンジンの構造もお話を伺うことができた。

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【2021年11月28日11時33分】 関東鉄道竜ヶ崎線・キハ532号車内

キハ532号車の世代の車両では、戸袋部の座席下にドアエンジンが付いており。元空気溜め、制御空気溜めと通ってきた圧縮空気の配管は、右端の電磁弁の付近で左右の2つに分かれ。
車掌スイッチを押すごとに、片側の配管から圧縮空気がドアに繋がるテコを押して。空気圧でドアを押して開閉させる構造。非常用の弁を開け閉めしながら、そのテコの動きも実演して見せてくれた。
これは、<変態鉄>にとっては小さい頃からよく知っていたところ。このドアを動かすテコのアーム部分などの点検や注油のために、戸袋部に窓がある訳で。

最近の車両ではドアエンジンは小型化されて扉上部に移され、空気圧ではなくモーターで開閉する構造に変更されており。
こうしたドアの動作が見られる車両もだんだん少なくなってきている。

と、気づけば車内だけでも、40分ほど説明を伺っていたのだった。

冒頭の撮影会に、ちょっと肩透かしというか物足りなさを感じていたイベントだったが、終わってみればあっという間。この「体験会」、非常に充実したものだった。(つづく)

(※)動画から切り出した画像を使っているため、写真が見づらくなっています。ご了承ください。そのうち、画質の良い静止画像の切り出し方が分かったら、写真を差し替えます。
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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