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南部縦貫鉄道「レールバス 夕暮れ撮影会」(3)レールバス出庫 [保存車・博物館・廃線跡]

昨日は記事を書きかけたところで...

昨日の記事で触れた、RMライブラリー。もともと1,200円の書籍を送料込みで3,000円だったが、それでも満足な内容だった。
資料性もあり、筆者が高校生の頃から廃止に至るまで何度も通った、その時に見聞きしたことなど。

1962年(昭和37年)開業から1997年(平成9年)に休止(事実上の廃止)となるまで、もともと鉄道が必要なほどの輸送需要も沿線人口も産業も無かった地域。何としても...、その青森県南(南部地方)、旧陸羽街道沿いにありながら鉄道のルートから外れてしまった七戸の町の皆さんの熱意で存続してきたということも、よく理解できた。

実際には砂鉄製鉄の計画が早々に頓挫し、開業して間もなく会社更生法の適用を受ける。タクシー事業に加えて沿線の学校の給食、スクールバスの運行、ゴミ収集など業務の多角化で、沿線自治体の協力もあって生き残ってきた鉄道だった。

開業当初、そんな「むつ製鉄」の貨物輸送が頼りだった...という1つの“傍証”となるのが、キハ101、キハ102の2両のレールバス。

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【2023年10月8日13時13分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

開業から廃止(休止)までこの路線と運命をともにした2両のレールバスは、開業に合わせて1962年(昭和37年)に富士重工宇都宮で製造された。
バス用の部品を多用し、その頃のバスの車体に合わせたモノコック・ボディ。日野製のエンジン部品が80年代末に底をついたのも同線の運転が途絶える一因だった。鉄道車両より遥かに寿命が短いバス、その部品を使った車両を35年維持し、その後も動態で残した...のは、同社と沿線の熱意あってこそのものだったのかも知れない。

さて、13時。「レールバス愛好会」の皆さんも驚くくらいの来場者数の多さだったようで。予定時刻になったのだが、来場者の押し寄せる波はとどまるところを知らず。そんな人たちも撮影場所を見つけられるよう、5分ほど出庫を遅らせて...
……  ……

2023年10月8日(日)曇り一時晴れ

防風林だろうか、七戸駅裏の機関庫の後ろは木々に囲まれ。陽当りが悪い分、ちょっとヒンヤリしている。足元は前日の大雨で泥だらけのぬかるみ。決して撮影環境としては良くないのだが...

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【2023年10月8日13時00分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

いよいよ13時、この日は機関庫で保存されている全車、どれもエンジンの調子も良いようで全車出庫の方針とアナウンスされており。

13時すぎ、集まった多くの<鉄>が固唾を呑んで見守る中...

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【2023年10月8日13時13分】 旧南部縦貫鉄道・七戸駅

静まり返った七戸の駅に「ヴィーーーーッ!!」という甲高い独特の警笛の音が響き。
白い煙を上げて、ゆっくりと機関庫を出てくるキハ101号車。

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【2023年10月8日13時13分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

2軸車特有のジョイント音、そして、旧式のバス用エンジンを流用した日野製エンジンのサウンド。

もちろん、<変態鉄>もEOSくんのファインダーの中で少しずつ大きくなってくるキハ101号車の姿に全神経を集中して連写である。

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【2023年10月8日13時13分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

目の前を通過して...

廃線後も七戸駅構内の、国道4号線(七戸バイパス)の手前まで線路が残されており。
この日のメインは夕方からの撮影会、それは2番のりばのホームのところで行われることになっており。だから、キハ101号車は、いったん、その線路の終端、国道の手前まで進んで転線。

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【2023年10月8日13時14分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

進行方向を変えて、ゆっくりと七戸駅ホームへと進入してきた。

件の書籍など、現役時代の写真を見てみると七戸駅構内はあまり当時と変わっておらず。ただ、駅前の新しい住宅が建っているあたりは、かつては貨物側線があった場所と思われ。

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【2023年10月8日13時17分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

でも、現役時代もだいたいこんな風景だったのではなかろうか。

標準的な鉄道車両の1両の車体長は20 mなので、全長10.3 mのレールバスは普段、撮っているのとは全然、感覚が違って。路面電車としても小型車の部類に入るサイズだし、路線バスとしてもそれほど大きくない感じ。

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【2023年10月8日13時17分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

最初は出庫シーンを“正面ドカン!!”で撮ることを狙った分、転線してきた後は引きの撮れたカット。
空は終始、分厚い雲に覆われていたが、時折、日差しがあって。ちょうど、少し明るくなったところで、この側面がちの1枚。車体全景を記録できたということで、とりあえず、最低限の目標達成。

あとは、この限られた場所でどういう画を撮るか!?

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【2023年10月8日13時20分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

まるでゴルフ場のギャラリーのように...1両が出庫した後、次の車両の準備が行われる数分間に、皆さん、立ち位置を変えるため一斉に動き出す。自分は線路を渡って反対側、ちょうど2番ホームの後ろ側から機関庫を見る位置に移動して...

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【2023年10月8日13時20分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

「どうなっているのだろう??」と思っていたら、機関庫正面の扉は引違い戸のようになっていたようで。愛好会のスタッフが重そうなその扉を動かすとキハ102号車の姿。

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【2023年10月8日13時24分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

再び、ヴィーーーーッ!!」という甲高い独特の警笛。奥の線路にもレールバスが姿を見せて。こちらは、ホーム側に転線せず、機関庫の前の、先ほど自分が撮っていた付近に停車して。

さぁ、続いて... (つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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