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南部縦貫鉄道「レールバス 夕暮れ撮影会」(4)レールバスだけでなく... [保存車・博物館・廃線跡]

南部縦貫鉄道は、地方私鉄としては開業はかなり遅い部類、むしろ、同規模、同種の路線を持つ鉄道会社の多くがバス転換に舵を切る時期に、建設工事が進められたのだった。

それは、「むつ製鉄」の砂鉄輸送を期待されてのこと。開業当初に天間林村で砂鉄の試掘が行われ、その輸送試験の貨物列車が走った...という説があるが、“砂鉄から鉄鋼をつくる”こと自体の技術が実用化にいたるレベルに達していなかったこと、あとは、輸入鉄鉱石を使った製鉄の方がコストも効率もよく、砂鉄を採掘する必要がなくなったこと...期待された割には、開業時点では砂鉄輸送の貨物列車が走る可能性はほぼ消えており。
それでも、国鉄東北本線から千曳、野辺地経由で継送される貨物などもあって...終始、経営的には苦しかったようだが、それでも沿線の足として。

もともと沿線は人口希薄な地域でもあって。当初から旅客輸送はアテにしてなかった...とはいっても、定員60名のレールバス2両だけでは地元の通学輸送には不足したようで、開業直後、常総筑波鉄道から譲渡された古典気動車キハ103号車が“助っ人”として...、でも、まもなく自走不能になり、貨物輸送が少なく暇にしていたディーゼル機関車が牽引した客レのような形で走らせて凌いで...。そんなところに、新たな助っ人として、1980年(昭和55年)、国鉄からキハ10形1両を譲受する。

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【2023年10月8日13時40分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

それが、キハ104号車。
“大型車”といっても、20 m車だから極めて標準的な車体長。でも、同社のレールバスから見たら2倍のサイズ。ホーム長が足りず、前ドアしか使えなかったり、車体が大きい分、燃料消費が多く、あまり使われなかったようで。

1997年の休止(実質的な廃止)の直前に全国から殺到した<鉄>を捌くのに大活躍したというのが、何とも皮肉な...

でも、現在、国鉄キハ17系ディーゼル動車では唯一、動態で残っている個体として極めて重要なのである。
同社で唯一の国鉄型キハでもあり。<変態鉄>としてはレールバス以上に...同等くらいに、この日、注目していた1両だった。

……  ……

2023年10月8日(日)曇り一時晴れ

レールバス、キハ102号車が車庫の前に姿を現し。

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【2023年10月8日13時24分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

引き続き、機関庫の中で、そのキハ102号車の後ろに留置されていたキハ104号車のエンジンが...

愛好会の皆さん、<鉄>に対しても終始、「いい写真を撮って行ってください!!」と親切に対応してくれていて。次々に車両を車庫から出す作業、でも、その合間にも線路内に入っての撮影を許可してくれて。

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【2023年10月8日13時27分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

愛好会の皆さんの手によって、キハ104号車が目を覚ます。

DMH17Cエンジンは小湊鐵道キハ200形と同じもので。ちょっと予熱しておいて...

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【2023年10月8日13時30分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

いつもの、聞き慣れたエンジン音。でも、後継のキハ20形、それと同等の車体を持つ小湊キハ200形よりは一回り小ぶりな車体。顔はよく似ているが、やはり、見慣れたキハよりも華奢に見えるのである。そのキハ104号車のヘッドライトが点って。

機関庫の入口にカメラの砲列ができる中、<変態鉄>は機関庫すぐ前のブッシュの付近に陣取って。

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【2023年10月8日13時35分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

庫外に姿を現したキハ104号車の姿。

茨城交通湊線でキハ11形が動く姿を撮ったのも1997年だった。思えば、キハ17系の最後の生き残りたちは1997年5月の大型連休の運行されており...
それ以来のキハ17系である。

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【2023年10月8日13時37分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

続いて貨物用機関車2機の出庫作業が始まるのだが...

多くの<鉄>が機関庫の前に集まっている内に、<変態鉄>は...

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【2023年10月8日13時40分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

キハ104号車の姿を。いや、令和の時になって、“生きている”キハ17系を撮れるなど、まさに奇跡である。
斜め前方から、しっかり車体全景を記録しておきたい。多くの<鉄>が機関庫を覗き込んでいるタイミングは、そんな<変態鉄>にとっては“絶好のチャンス”だった。

この南部縦貫鉄道キハ104号車、もともとは、国鉄キハ10形、その45号車である。
その、キハ10 45号車は、帝国車両で1956年(昭和31年)10月に落成している。ちなみに、新製配置は気仙沼だったようで。
実は、レールバスよりも“先輩”なのである。大型車体の液体式ディーゼル動車が量産されるようになって10年以上経ってから機械式ディーゼルカーを新製したのが南部縦貫鉄道で...う〜ん、何だかアタマが混乱する。

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【2017年11月8日12時42分】 埼玉県さいたま市大宮区大成町・鉄道博物館

さて、同車は1980年3月に八戸で廃車になっている。時期から考えると、キハ40系の新製投入で置き換えられたのだろうか。
そのキハ10 45号車を南部縦貫が譲受、車体塗装を改めて、同線では通学時間帯の輸送力列車として平日朝の初便に充当されていたそうで。(休日はレールバスで代走)

この車両、キハ17系のシンボルでもあった“クラ型台車”DT19系台車を、国鉄時代に、DT22系台車に履き替えているのが特徴。
オリジナルのDT19台車は枕バネが防振ゴムでできており、乗り心地が酷いことが有名なほか、後年、台車枠に亀裂が入ることが多かった等、評判が悪く、ローカル用のキハ17系でも50両あまりについてDT22系台車に交換されていたことがわかっており。そんなレア車の1両。
まぁ、つまり、車体は華奢でも足回りは小湊キハに近く。

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【2023年10月8日13時46分】 旧 南部縦貫鉄道線・七戸駅

ディーゼル機関車が出てくるまでの僅かな時間、キハ104号車を撮り続けたのだった。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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