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真夏の、いすみ鉄道キハ撮影記(1-2)空振り <後編> [いすみ鉄道]

これまで、旅行中も撮影に行っても、決定的なトラブルやアクシデントで何もできずに...ということは、あまり経験が無い<変態鉄>。特に「撮影に行ったら、お目当ての列車が故障したり事故があったりして走らなかった」というケース、あまり記憶に無い。
そういう意味で珍しい経験ができたのが、この7月31日のいすみ鉄道。「空振り」というタイトルにしたのは、この日、第101D列車で上総中野駅に向かったキハ、折り返しの第102D列車は車両故障の影響で大幅に遅延の上、大多喜駅で運転打ち切りになったのである。

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【2022年7月31日14時01分】 いすみ鉄道・大多喜駅

つまり、朝5時に起きて大多喜に向かった上で、たった1回、第101D列車を撮ったところで撮影終了。あとは猛暑の大多喜駅前でボーーっとしていただけだったのである。
そんな「ほとんど撮影していない撮影記」の後編。
……  ……

2022年7月31日(日)晴れ

こういう趣味のブログで、事業者に対する批判めいた話(と解されてしまいそうなこと)を書くのも気が引けるのだが、まぁ、1つの記録として。
この日の第58D列車の運転士さん、10年以上、いすみ鉄道に撮りに通っていて一度も出会った記憶がないような...

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【2022年7月31日10時24分】 いすみ鉄道・上総中野駅

第58D列車は上総中野駅発車時点で、座席の間の通路まで人が立っているような状況での発車。その直前、ドア閉めのアナウンスに加えて「整理券は必ず取って下さい、取らない乗客がいると、後で駅ごとの乗降客数が分からず困る」という趣旨の内容のアナウンス。11年間で多分、初めての放送。
これまで(規則上の位置づけは分からないが)、1日フリーきっぷや房総横断券のような企画乗車券の場合、降車時に運転士さんに券面を見せるだけ...というのが習わしになっていた。でも、この運転士さんに限っては「必ず整理券を」と。まぁ、自分が悪いのかも知れないが。
このときは自分を含め、整理券を取らなかった乗客は、降車時に運転士さんから一言、注意されてしまって。

ただ、この後も何度か、いすみ鉄道を訪れ、このときと同じ房総横断券を使うこともあったが、他の運転士さんにそんな指摘を受けることは無く。むしろ、券面を見せながら整理券を渡そうとすると、ちょっと驚いたような...
こういうのは、業界を問わず一種の“中小企業あるある”かも知れないが、対応が一貫せず、そのときの担当者によって見解がバラバラというのが、ちょっと気になってしまうのである。
“企画券でも、必ず整理券”というのは、同社では自分にとって、このときだけのような気がする。仮に、この運転士さんの言う通りなのであれば、ポスター掲示やウェブへの掲載、車内放送での注意喚起の徹底など、会社としてできる施策はたくさんある筈なのに...

というわけで、この日は晴れていたので、お目当てのキハ28形は逆光になる箇所が多く、悩んだ末に小谷松駅下車。

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【2022年7月31日10時52分】 いすみ鉄道・小谷松駅

最初の第101D列車では、キハ28形は後追いで撮ることになる。しかも顔には光が回らない。それならば、少し引いてサイドがちに撮った方が良いかと思って。
向かった先は少し大多喜側に進んだ昔ながらの農家のところ。

でも、そこには“先客”が居て。畦を進んで線路ギリギリまで入って三脚をセットしており。う~ん、確かにフツーの<鉄>なら順光になるキハ52形を狙って撮るはず。
わざわざ逆光になるキハ28を後追いで狙うなどというのは<変態野郎>だけである。ということで、<変態鉄>がフツーの<鉄>の邪魔をしてはならない。隣の田んぼのところに移動して。道路脇からカメラを構えれば、農家は入らないが、とりあえず、考えていた構図に近い形で撮ることはできる。

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【2022年7月31日11時23分】 いすみ鉄道・大多喜-小谷松

キハ28形にとって最後の夏。バックの青空もキレイで、思い通りの写真に仕上がって。思っていたよりもキハ28形の顔は黒く潰れており。当初の狙い通りの画を撮ろうとしていたら、撮ってからガックリ立ったかも知れない。
線路から離れて大回りするような感じで大多喜側に道なりに進めば、まもなく夷隅川に架かる橋を渡って“祠裏”に出ることができる。意識朦朧とする位の暑さの中、とにかく歩いたのである。

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【2022年7月31日12時38分】 いすみ鉄道・小谷松-大多喜

ちょうど、このタイミングで雲が増えてきて。つまり、本来、逆光になる筈のキハ28形を黒く潰れずに撮れるチャンス到来...と、大多喜病院近くの踏切から望遠400 mmでキハ28形の“正面ドカン”を狙うことにしたのだが...
カメラをセットすると、空は、そんな<変態鉄>を見透かしたかのように太陽の光が再び...

生い茂る木々が少しでも陽射しを遮ってくれれば...

いつもの柳原踏切に“転戦”したのだった。約27 kmの路線にトンネルは無く。でも、こういう雑木林から飛び出してくるシーンは、トンネルのような感じで撮ることができて...。
暑い。それにしても暑い。ズボンのポケットに入れているタオルは、既に汗を吸うだけ吸って“おしぼり状態”。本当に暑い。暑いとしか言いようがない...、そんな中で、正午に戻ってくるキハの第102D列車を待っていたのだった。

でも...

定刻を過ぎているのに踏切機が鳴り出す気配は無く。う~ん、こういうとき、2つ折りケータイしか持たない<変態鉄>には情報収集の方法が絶たれるのである。しかも、こういうときに限ってマニアックな撮影地。情報を伝えてくれる“同業者さん”はなく。
「もう、限界!!」と思いつつも、もし、カメラを片付けたときに遅れているキハがやって来たら後悔しそう...その思いだけで待っていた。

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【2022年7月31日12時55分】 いすみ鉄道・大多喜駅

そのとき、町の防災無線のスピーカー。静かな場所なので近隣のスピーカーからの音がいくつも聞こえてきて。1つのアナウンスが“輪唱状態”になって聞き取りづらいが...
「いすみ鉄道は車両故障のため、全線で運転見合せ」と。これで決心した。カメラを片付けて大多喜駅へと歩いたのだった。

大多喜駅には13時少し前に戻って。駅舎内には「只今、車両故障のため...」、簡潔な掲示が出されており。この時点で、下りホームには300形単行の上総中野ゆきが停車中。何人かの乗客が車内や駅舎周辺で運転再開を待っており。たぶん、所定12:20発の第61D列車である。

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【2022年7月31日13時21分】 いすみ鉄道・大多喜駅前

この頃から、駅舎に隣接した本社前の動きが慌ただしくなっており。“緊急事態発生”で召集がかかったのだろうか、駐車場にクルマを停めて走って本社に入っていく人も...
黄色いロゴ入りの服の、い鉄職員がその駐車場前に出てきて。まもなく、13:20頃だっただろうか、沿線にあるバス会社のマイクロバスが到着。

その第61D列車の乗客と、駅舎前で途方に暮れていた、近隣の高校の制服姿の人たちを、い鉄職員がそのバスに案内し。

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【2022年7月31日13時23分】 いすみ鉄道・大多喜駅前

ということは、たぶん第61D列車の「列車代行バス」。かつての“番所”跡の道を新丁方面へと走って行った。
バスが発車すると、ホームに居た300形は転線してホーム裏の給油線の方へ入庫。直後、途中駅で抑止されていたのだろうか、ランタン列車351号車が、これまた下り列車として大多喜駅に到着。所定12:51着の第63D列車だろうか。乗客を降ろしたら、こちらもすぐに入庫して。
駅から出てきた乗客は、困り顔で駅舎に残って...。暑い中、駅舎前で待っていた高校生は家族が迎えに来てくれたのだろうか、クルマに乗り込んで。

そんな様子を向かい側の「観光本陣」前のベンチで、ジュースを飲んで体を冷やしながら観察していた<変態鉄>だった。

この時点で、27 kmあまりのいすみ鉄道線で本線上に在線している列車は、上総中野から大多喜に向かっている筈の第102D列車、キハ編成だけになっており。つまり、といいうことは、故障して動かなくなっているのはキハだろうか???

でも...

13:50頃。そろそろ高速バス乗り場に向かおうかと思っていたところで、小谷松方の踏切の音が。

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【2022年7月31日13時56分】 いすみ鉄道・大多喜駅

約1時間半遅れでキハ編成が大多喜駅に戻ってきた。その様子を撮って...

ほぼ同時に、先ほどの「列車代行バス」だろう。同じ色のバスが、たぶん、い鉄の職員だけ乗せて戻ってきた。確認したわけは無いが、この「代行バス」は第61D列車の大多喜-上総中野間の列車代行の役割を果たしたところで終了、同時間帯の上りの乗客は遅れたキハ列車が対応した...ということだろうか。

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【2022年7月31日14時01分】 いすみ鉄道・大多喜駅


乗客を降ろしたら、すぐに入庫。いつものように、小谷松側に少し進んで転線。大手門のところの検修庫に、ゆっくりと戻ってきて。駐輪場付近でカメラを構えた<変態鉄>である。久々にキハ入庫シーンの撮影。

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【2022年7月31日14時02分】 いすみ鉄道・大多喜駅

14時、いつものスペースにキハ編成が入庫して。ちょうど、隣の線路で休んでいたのはキハ20 1303号車。国鉄一般気動車色並びを撮って撮影終了。
このとき、いすみ鉄道の在籍車全部が大多喜駅に戻っていたことになり。

……  ……

船子のところの高速バス乗り場までは歩いて10分ほど。朝5時起きで大多喜にやって来て、小谷松でキハの写真を1枚だけ撮って帰宅...というのは、何ともコスパの悪い撮影行だった。
実は、これほど撮っていながら、こういうアクシデントで、撮りたい列車が走らなくて...というのは、あまり経験のないこと。まぁ、貴重な経験ができたといえば...。

少し遅れ気味、14:50頃に大多喜バス停に日東高速バス。

ちょうど、その、大多喜を離れようとしていたタイミングで再び町の防災無線。いすみ鉄道は運転を再開した...と告げていた。

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【2022年7月31日17時03分】 東京都中央区八重洲付近

いつも通り、袖ケ浦から大渋滞に巻き込まれる高速バス。海水浴客だろうか、この日は木更津金田から補助席まで使って満席。家族連れが多かったのは海水浴だろうか??
アウトレットなら荷物が多いはずだし、わざわざ金田バスターミナルから乗るはず無く。まぁ、事実上、無ダイヤ状態になる日曜午後のアクアライン高速バス。前後の間隔が空いたから...だろうが、補助席まで埋まる混雑というのは久しぶり。

17時過ぎ。ちょうど1時間の遅れで東京駅八重洲口前に到着。

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【2022年7月31日17時03分】 東京都中央区八重洲付近

すぐ後ろで行われているミッドタウンの工事も完成が近づいており。それに伴いバスターミナルの移転も発表されていた時期、「次に来る時は新しいバス乗り場だろうか??」と思いながら中央線に乗り換えるのだった。(おわり)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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