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「ことでんレトロ」LAST RUN 2021.11.03 撮影記(9)岡田 [高松琴平電鉄]

経度の違いで、東京と四国では日の入りの時刻は20分ほどの差があって。とはいっても、11月ならば17時近くにもなれば走行写真を撮るのには厳しい状況。諦めて駅撮り...も悪くないのだが、やはり、最後に走るシーンを撮っておきたくて。
でも、<徒歩鉄>にとって厳しいのは、こういうイベント列車、特に「さよなら運転」となれば、多くの<鉄>が集結するわけで。別の地点で撮ってから電車で移動してくると、メジャーな撮影地では割り込む余地がなくなっていて。

だからこそ...

「最後はココで」と決めていた場所があった。駅から近くて、他の撮影者をまず見かけないような場所。

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【2021年11月3日16時52分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

香東川鉄橋で撮った後は<鉄>で超満員の1200形電車で。

……  ……

それにしても...

  https://youtu.be/b5dgWaRsjI4

今日はなぜかずっと、このCMソングがアタマの中をエンドレスに駆け巡っていて...。「モーレツ」なのである。この動画、自分が生まれる少し前の時代、1969年(昭和44年)のものだそうだから、まだ世の中が活気に溢れていた...ちょうど大阪で万博が行われる前後である。
そういえば、いま、ことでん琴平線を走る黄色い電車たちも、この前後の時代に新製されている。

ということで、引き続き、11月3日、最後の「ことでんレトロ」運転の話題。

……  ……

2021年11月3日(水・祝)晴れ

“日の入り時刻との競争”となりそうなダイヤ。琴電琴平駅の発車時刻が16:49、だから、<鉄>は琴平-榎井のあのカーブと、土器川鉄橋に集まる筈。どちらもよく知っている撮影地ではある上、キャパも大きい。それでも、撮りたいポジションは既に埋まっているはず。

さらに...

薄暗くなっていく時間帯であれば、できるだけ“正面ドカン!!”に近い構図を選択して、少しでも列車の見た目の速度を下げたくて。そう考えたときに、1つの地点に決まっていた。
ここで“LAST RUN”を撮るのは2度目。
後追い撮影で、120号車に対して順光...というか、まったく光が来ない状況で撮ることになりそう。ISO値を上げて、望遠で遠くに電車を置いて、可能な限り見た目の速度を下げて被写体ブレを目立たなくする作戦である。

いや、技術さえあれば、羽間駅ヨコの、あのため池のところで真横からの流し撮りなど考えたのだろうけれど...
最後の撮影を、苦手な流し撮りに賭けるというのは、あのときの自分には到底できないことだった。

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【2021年11月3日15時37分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田駅

円座駅から乗り込んだ1200形「しあわせさん こんぴらさん」、車内は<鉄>で超満員。都会の通勤電車と変わらない混雑。でも、その殆どの乗客がカメラバッグと三脚を持ったオッサンたちというのが、ある種、異様な光景である。

そんな電車を岡田駅で下車。さすがに、この駅で降りるのは自分の他には数名だった。
すっかり通い慣れた道。琴平街道とは反対側に駅の出口があって、街は線路の反対側。でも、<変態鉄>は駅を出たら線路沿いの道を...

2~3分で、薬局の先の踏切に出る。その先が自分が考えた撮影地。

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【2020年8月30日12時03分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

ここは500号車のお別れ運転、コロナ禍の2020年8月の運転のときに撮った場所だった。讃岐の夏は蒸し暑く。まさに“酷暑”といえる日だった。朝4時起きでヒコーキで駆けつけた高松、暑さは体に堪えて...

アタマが痛くて意識が朦朧としてきて...
たぶん、熱中症である。カメラを構えるどころか、まっすぐ立っていることすら難しい状況になって。そんな最悪の状況の中、かろうじてシャッターを切ったのがこの1枚。後追いで撮った500号車の最後の姿である。

線路沿いのお宅の庭に咲く赤い花が印象的で、このヨコ位置を選択したが、望遠ズームを目一杯のばして、タテ位置で撮れば思ったような構図になる。

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【2021年11月3日16時42分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

この500号を撮った場所で、そのまま“回れ右!!”をする...つまり、まもなくやってくるレトロ電車を、後追いではなく正面から撮ろうとすると...山の稜線に隠れんとする太陽に照らされた岡田駅が見えるのである。
「こういうシーンで、夕陽を味方につけた写真が撮れれば...」と、思いつつも予定した構図でカメラをセット。

でも...

そんなタイミングでクルマでやってこられた方が、ちょうど自分と背中合わせになるような位置、つまり、この夕陽の向こうに岡田駅が見えている、この構図でカメラをセットして。
それを見て、だんだん迷いが生じてきたのである。

「自分も...」
急遽、自分も“回れ右!!”して、三脚を動かして。

この時間帯、太陽は地平線をめがけて猛烈なスピードで動いていくように見えるもので。カメラを構えていると、本当に1分、また1分と陽射しが弱くなっていき、夜の部分が広がってくるのが目で見て分かるくらいで。

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【2021年11月3日16時50分】 高松琴平電鉄琴平線・栗熊-岡田

数分で周囲は薄暗く。ちょうどやって来たのは1200形の琴平ゆき。この電車が岡田駅の次の羽間駅でレトロ電車と交換するダイヤである。レトロ電車も琴電琴平駅を発車しているタイミング。
「そのとき」は刻一刻、近づいているのである。

後追いで撮った1200形は、じゅうぶん納得できる画になっており。

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【2021年11月3日16時51分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

最後の試し撮りとなるのは、レトロ電車の6分前に先行して琴電琴平駅を発車している高松築港ゆき、先ほど円座駅から乗ってきた編成の折返し、「しあわせさん こんぴらさん」である。
いつも、岡田駅で上下列車がすれ違う設定になっており。

やがて、すぐ目の前の踏切機が鳴り出して...

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【2021年11月3日16時52分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

黄色い電車が通り過ぎれば、いよいよ。

さぁ、向こうの方から一筋の...白熱灯のヘッドライトの光である。

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【2021年11月3日16時58分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

レトロ電車にとって1927年(昭和2年)3月の滝宮-琴平開業のときから94年間、走り続けてきた線路に別れを告げる最終運行。否応なしにレリーズスイッチを握る手にも力が入るわけで。

そのレトロ電車が岡田駅ホームに停まって。

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【2021年11月3日16時58分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

列車交換はないものの、少し長めの停車時間が設定されていたようで。

さぁ、再び踏切機の警報音が聞こえてきて。
ここまで全て順調に来ているように感じていた。

でも...

そう、暗くなってきた中でヘッドライトの光を、ほぼ正面から受けるカメラポジション。これは望遠ズームには最も弱点といえるものだった。ファインダーの中で大きくなってくる電車、レリーズを握りながらも...

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【2021年11月3日17時01分】 高松琴平電鉄琴平線・岡田-栗熊

さきほどの1200形から10分ほど、この時間帯は1分差でも明るさが全然違っていて。それに白熱灯とシールドビームの違いもあるのだろうか??
画面中央付近に思いっきり...

レンズ内部で反射した光がオレンジ色の塊になって...。完膚なきまでの“撃沈”である。暗澹たる気持ちでカメラを三脚から外しながら...
クルマで通りかかった地元のオバチャン、自分を含めた<鉄>の姿を見て、踏切待ちのクルマの窓からスマホを突き出してレトロをスナップしていたのだが、遮断竿が上がって再び走り出す前に。

「鉄塔の上にコウノトリがとまっている」と。聞けば、鳥がお好きなようで。その指さす方を見上げたのだった。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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