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晴れの国へ、置換え迫る個性派機関車を追う(2)井原鉄道の「鉄印」 [3セク鉄道「鉄印」の旅]

ただ単に水島臨海鉄道を撮るだけというのは、何だか単調なので、せっかくなら...と。
実は最初に検討したのは、ヒコーキを岡山で無く伊丹にして、山陽電車を撮るというもの。

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【2020年1月10日11時43分】 山陽電鉄本線・妻鹿-白浜の宮

調べてみると、残念ながら当日のこの編成の運用予定は撮影に不向きなもので。

それなら...と、ヒコーキを鳥取ゆきに変更して「鉄印帳」を持って、智頭急行、若桜鉄道と巡って倉敷入りするプランも考えたが、どうしても急ぎ足になりすぎる感があって。
でも、せっかくなら「鉄印帳」も持って行きたいし...

そんな中で考えついた、というか、落ち着いたプランは同じ倉敷市を走る井原鉄道を訪問することだった。
……  ……

その「鉄印帳」、「第三セクター鉄道等協議会」の加盟40社の企画。

でも、ちょっと複雑で。

「第3セクター」というコトバは、公的な国・自治体がやっている訳でも私企業によるものでもなく、主に、国と関係自治体に民間資本を合わせた企業という意味で使われる語だが...
<鉄>にとっては、ちょっと違う意味で使われる。

いや、正確に言えば、上記の意味の鉄道事業者を全部、第3セクターと認識していない...となるのだろうか。

1) 国鉄末期に特定地方交通線(つまり廃線対象)に指定された路線を沿線自治体が中心になって“引き取った”路線。
2) 国鉄末期に建設が凍結された路線が引き継がれて開業に漕ぎ着けたもの。
3) 新幹線開業に伴い、いわゆる並行在来線としてJRから切り離されたもの。

この3分類の路線を第3セクター路線というのが通常。

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【2021年4月18日9時15分】 いすみ鉄道・大多喜駅

1)は全国に点在しており。そう、いすみ鉄道(旧国鉄木原線)は<変態鉄>も何度も訪れている。
沿線の過疎化・少子高齢化は加速しており、どこも、なかなか経営は苦しいようだが、なんと言っても風光明媚な路線が多く。沿線住民も協力した活性化策が注目されているところも少なくない。

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【2012年12月10日9時17分】 しなの鉄道・戸倉-坂城

3)は新幹線開業までは主要幹線だった区間だけに施設・設備を持て余し気味で...
ただ、歴史のある路線が多いだけに沿線には見所が多く。新幹線開業のために在来線をJRから経営分離するというのは、そもそも、その施策自体がおかしいと思っている<変態鉄>だが...

そして、もう1つ。2)のグループに属するのが、井原鉄道である。

ただし、冒頭の、文字通りの意味で経営として「第3セクター」であっても、それを「3セク」と呼ばないのが<鉄>なのである。
例えば、<変態鉄>が、よく撮りに訪れる水島臨海鉄道だって、公式サイトhttp://www.mizurin.co.jp/の「会社情報」の中に

“昭和45年に国鉄(現JR貨物)、岡山県、倉敷市等の出資により第3セクター形式の企業として設立”

と明記されているのに、<鉄>としては誰も「第3セクター」とは呼ばない。そう、あの「鉄印帳」にも出てこない。
そう、国鉄末期にできた路線ではなく法令上、臨海鉄道法に拠るものだから。

岡山県倉敷市というのは非常に市域の広い街である。一般に「倉敷」といえば美観地区のあるあの付近を指すものだろうが、<変態鉄>が頻繁に訪れる水島地区もそうだし、それだけではない。瀬戸大橋線の児島駅付近だって。さらに内陸部にも。
数年前に西日本豪雨で甚大な被害を出した真備も倉敷市の一部である。市町村合併で大きくなったという意味では、富山市ともよく似ているだろうか。


2021年4月6日(火)曇り

倉敷市の内陸部(旧真備町など)を経て伯備線の清音駅と福塩線の神辺駅(広島県福山市)を結ぶのが

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【2021年4月6日10時25分】 井原鉄道・井原駅

井原鉄道は国鉄時代に計画されたものの建設が凍結された、旧日本鉄道建設公団建設線の井原線を引き継いで開業させたものである。

1966年(昭和41年)に着工されたものの、後に国鉄再建法の兼ね合いで凍結(1980年)の後、1987年に第3セクター・井原鉄道が発足し、1999年1月に開業した。
ちょうど山陽本線の北側を岡山県と広島県の県境に跨がって走る全長約42 kmの路線である。

だから、路線の大半は高架と盛り土、トンネル区間も多くて、途中の駅もイマドキの高架ホームの無人駅が多く、別に趣ある木造駅舎が残っているわけでも無くて。
走っている車両はIRT355形...とはいえ、仕様の差こそあれJR西のキハ120形のソックリさん。

清音駅で乗り換えた第1321D列車はIRT355-4号車単行。ボックスシートの大半が埋まった状態で。

発車するとすぐ急カーブで伯備線と分かれて、立派なトラス橋で高梁川を渡り。トンネルが続く区間もあるものの築堤や高架が多い分、車窓の眺めは良いのである。

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【2021年4月6日10時09分】 井原鉄道・第1321D列車(IRT355-4号車)内

とはいえ“心ここにあらず”とはこういうときのためのコトバかも知れない。何とかして、EOSくんを...
「28-300」のズームレンズに問題があるのは明らかだった。そう、「パンケーキ」のレンズではエラーは全く出ないのだから。

車窓はサクラを始めさまざまな花が咲いており。鯉のぼりを上げているお宅も目立っており。
人名にしか思えない珍駅名として知られる「吉備真備」駅で多くの乗客が下車。

三谷駅で大原美術館のラッピング車両と交換して...

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【2021年4月6日10時25分】 井原鉄道・井原駅

でも、それを眺める余裕は無かった。車庫のある早雲の里荏原駅を過ぎれば、目的地の井原駅である。
10:22着、10:32発の10分停車。でも、それを時刻表で確認する余裕すら無く。

ホーム端の構内踏切に続くスロープのところで10分間、待っていたのである。

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【2021年4月6日10時25分】 井原鉄道・井原駅

島式ホーム1面の井原駅、駅舎側の上りホームには10:25発の第320D列車である。
鉄道写真では中望遠から超望遠まで焦点距離の長いレンズを使う場面が多い。そういう意味で40 mm単焦点というのは非常に使いにくいレンズなのである。
もともと、いったんホテルに荷物を置いてから町中を散歩するとき...などの用途を想定して買ったレンズである。

普段とは違って、引きつけて撮らないとならず...。なかなか慣れないのである。

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【2021年4月6日10時33分】 井原鉄道・井原駅

「まだなのぉ~~??」
待ち疲れた感じだった。尤も、時刻表を確認していなかった自分が全て悪いのだが...

乗ってきた列車は10分停車の後、神辺に向かって出発していった。

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窓口で鉄印を購入。いわゆる「置き印」タイプ、「鉄印」の“ネタ元”はもちろん「御朱印」だが、井原鉄道のものはむしろアート作品的な...

何か記念になるような乗車券・入場券類でもあれば買いたかったが、適当なものが見つからず。

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【2021年4月6日10時39分】 岡山県井原市七日市町・井原駅前

駅舎はガラス張りの部分が目立つ個性的なデザインで。内部には観光案内所の他、飲食店やデニム店が入っており。
このまま次の上り列車で清音経由で倉敷に戻っても良いのだが...

井原線は山陽本線の北側を並行して走っているような位置関係。井原駅から山陽本線の笠岡駅まで井笠バスカンパニーの路線バスが比較的頻繁に運転されており。

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【2021年4月6日11時08分】 岡山県笠岡市笠岡・笠岡駅前

ちょうど10:43発の笠岡市民病院ゆきが。バスの時刻が近づくと乗り場には買い物帰りだろうか、地元の方、数名が集まってきて。

井笠バスという名前、バスは両備グループらしい白い車体に紺色のアクセントが入った塗色。車内は板張り床、2人がけと1人がけのシートが並ぶ、昔ながらの後乗り前降りの、ちょっと懐かしいタイプの路線バス。
途中の停留所で時折、地元の方と思しき乗客の乗り降りがあって11:10頃に笠岡駅前に到着である。

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【2021年4月6日11時09分】 岡山県笠岡市笠岡・笠岡駅前

山陽本線の岡山県内最後の駅がこの笠岡、隣の大門駅は広島県福山市になる。

ちなみにバスも通る笠岡駅前の大通りは「県庁通り」、以前、訪れたときにちょっと驚いたのである。明治時代の廃藩置県の直後の一時期、「笠岡県」だった時代があって。

このバス、「井笠」という名前は...

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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