SSブログ

春の小田原に路面電車を見に行く(2)この電車の歴史を... [保存車・博物館・廃線跡]

まずは...

迷ったが、連休のヒコーキとホテルをキャンセルした。

021_DPP_00005498.JPG
【2019年5月3日9時58分】 高松琴平電鉄・仏生山車両所東工場前

ことでん、高松琴平電鉄のサイトには、この連休で引退予定だったレトロ電車2両の引退時期は夏頃に延期するという旨が書かれている。去年は8月末に「特別運行」が行われ...

でも、今年の8月は仕事が忙しくなりそうで...と。昨年は5月の大型連休で引退と予告されていた23号車の特別運行は夏休みに変更になって。
今年も同じパターンだろうかと思っている。このあたり、発表を待ちたいが仕事が...、と心配なのである。

ちなみに<変態鉄>の職業、飲食ではないのだが前回、1年前は休業要請対象の業種だった。今回はどうなるのか、期待して見ていたのだが、いつまで待っても報道では「など」の中で...
こういう“自分に関わるかも知れない話題”になったときにイライラするのがTV報道。いつも同じようなお店の店長の談話ばかり取りに行って...
営業自粛を言われていて「ラッキー!!」と答える店主がいるはずがない。新規陽性者数が増えたとなれば「宣言を出せ!! 厳しい規制を!!」と大騒ぎ。
いざ、それが決まれば「飲食業が潰れる!! 旅行業界が大変だぁ」と大騒ぎ。いったい、何がしたいのか??

残念ながら(??)、<変態鉄>の勤務先はこの期間、特別な対応はなく通常業務と決まったみたいで。ホント、自分だけで良いので休業要請...いや、自宅謹慎でも良いので申し渡して欲しい。感染が怖いのでは無く会社に行くのが面倒でならない。

ということで、4月2日、小田原に路面電車を見に行った話題の続き。黄色に水色の明るい塗色は、かつての箱根登山電車の標準色らしいが、もちろん、<変態鉄>の世代にはなじみが無く。

そして、この電車も...

……  ……

2021年4月2日(金)曇りのち晴れ

「箱根口」交差点の横断歩道を渡れば、東海道沿いのファミレスとかコンビニとかが並ぶ一角に“報徳広場”。明るい色の電車はよく目立っている。
クラウドファンディングの代表者でもあった保存会の会長さん自らが電車と同じカラーの上着を着て、来場客を迎えていた。

サイトに掲載されている会員証がわりの証明書を印刷したものを示して...

022_msi00001105.JPG
【2021年4月2日12時46分】 神奈川県小田原市南町・報徳広場

車内に立ち入ることができるのである。

基本的には長崎時代のままのようで。ただし、<変態鉄>はこの電車の長崎時代も知らないので...
天井の照明が1列の白熱灯、ちょっと薄暗い感じがなんとも言えず良い感じなのである。

023_msi00001097.JPG
【2021年4月2日12時42分】 神奈川県小田原市南町・報徳広場

まず、この電車の歴史を。実は、この姿で小田原の街を走っていた訳では無いのである。

製造は1925年(大正14年)東京瓦斯電気工業というメーカー名は...
その名の通り、瓦斯、電気用の資材製造から始まり、軍需部門も。銃器の製造に始まり、戦車や最終的は航空機まで手がけて。
のちの日野自動車やいすゞといった自動車メーカーの全身でもある。(この記事を書くために調べて、初めて知ったのだが...)

大正~昭和初期に、少しだけ鉄道車両も手がけており。この電車の他には...

024_0Y6C2279.JPG
【2013年10月2日11時46分】 神奈川県横浜市磯子区・横浜市電保存館

製造例が少ない割に<変態鉄>の撮っている率は高くて。横浜市電の500形を手がけているとのこと。
こちらは関東大震災の復興、被災者の代替として新製された2軸単車である。
1928年(昭和3年)製造。半鋼製車体である。

さて、この「小田原市内電車202号車」に話を戻すが...

この車両は、箱根登山鉄道向けに新製された訳では無く。

新製時は「王子電気軌道409号車」なのである。当時の路面電車としては標準からやや大型車だろうか。木造車体の電車である。

025_0Y6C6623.JPG
【2013年6月14日11時33分】 栃木県宇都宮市中岡本町・三和テッキ鉄道広場

「王子電気軌道」というのは、現在の都電荒川線。昭和初期に東京市 → 東京都の路線として組み入れられ、その歴史から専用軌道区間が多かったことが幸いして廃線を免れ、現在の都電荒川線(「さくら~~」などとは絶対に呼ばない!!)になっている。
その「王電」の電車としては、栃木県内の工場内に保存されている175号車を見学したことがある。
こちらは1927年(昭和2年)12月製造(メーカーは川崎造船)。

大正末期に木造電車を導入し、3年後には半鋼製の中型電車を入れている。

こちらは都電での廃車当時の姿(昭和40年代はじめ頃)になっているので、車内は直管式の直流蛍光灯(!!)の照明だった。東京都時代にいろいろと改造を受けているので、後天的に車内照明を交換したのか、新製時からなのかは確認できないが。

まぁ、テキトーにいえば、今回の「202号車」冒頭のことでんレトロと“同世代”の電車である。

026_msi00001100.JPG
【2021年4月2日12時43分】 神奈川県小田原市南町・報徳広場

終戦当時は東京を走っていたはず。戦後の復興が落ち着き始めると都電も車両の修繕と更新が本格化し。たぶん、6000形などと入れ違いみたいな感じだったのだろうか、1952年(昭和27年)に箱根登山鉄道に譲渡、小田原市内線202号車となった。
この当時の写真でも丸っこい車体の高床式の木製電車である。

ただ、この当時、収支が悪化していた訳では無くても、来たるべき自動車時代に備えるべく、ほどなく国道1号線の改修工事に合わせて小田原市からの要請もあって廃線を承諾、1956年(昭和31年)に全廃される。
つまり、この電車が小田原の街を走ったのは、わずか4年ほどということになる。

でも、幸いしたのは比較的大柄な車体だったことだろうか。第二の...いや、第三の活躍の場は長崎。

s5_msi00000952.JPG
【2021年4月2日12時41分】 神奈川県小田原市南町・報徳広場

そして、その際に木製車体の鋼体化工事が行われている。一般には台枠(当初から鋼製)を残して木製の車体を廃棄し、鋼製車体を新製する工事である。
現在の外観になったのは、その長崎への移籍の時だと思われる。さらに、車内の掲示によれば、長崎移籍後、1973年(昭和48年)に低床化改造を受けている。ざっくり言えば、車輪径の小さな台車に履き替えることで床面高を下げた訳である。
熊本市電の発生品を使用したのだとか。

簡単に言えば、台枠を除いて足回りも上回りも小田原に居た当時とは違っており。

その後、1987年(昭和62年)、<変態鉄>が小学生の頃にこの箱根カラーに塗り替えられ。
でも、記録によればこの頃からは予備車として営業運転に就く機会も減っていったのだとか。

前記事にも書いたとおり、平成に入ると予備車というか事業用車として市内の祭事による運休後の軌道の状況確認に走るくらいになったとのことで。
廃車は平成が令和に変わるとき。

そして、クラウドファンディングで小田原に帰還するのである。

と...

「コレ、実質、小田原の電車なんかじゃねぇ~し!!」

クラウドファンディングの時から<鉄>の中にはそういう指摘をしている人が居たのは、もちろん知っている。
でも、<変態鉄>としては、それは1つの事実としても、でも、この車両を小田原で保存しようということになったのは意味のあることだと思っている。
だからこそ、クラウドファンディングにも 微力ながら協力したわけである。

027_msi00001101.JPG
【2021年4月2日12時44分】 神奈川県小田原市南町・報徳広場

「運賃120円」の表示は長崎時代のまま残っており。そして、ドア窓に貼られた広告も。

でも、この電車がないと廃線から60年、「小田原に市内電車が走っていた」という事実自体、完全に忘れ去られてしまうことになる。
わずかな期間であっても、この電車が小田原で活躍していたのは事実であり。

たとえば、小田原に市内電車が走ったのは(最盛期は、国府津駅 ~ 箱根湯本)、国鉄東海道線が現在の御殿場線のルートで建設され、小田原はメインルートから外されてしまった時代があったため...といえる。
そういう歴史を物語る存在でもあるわけで。

028_msi00001102.JPG
【2021年4月2日12時45分】 神奈川県小田原市南町・報徳広場

例えば<鉄>でない人たちにとって、「むかし、ここに電車が走っていたんだよ」という話には記念碑が建っているよりも、何と言っても保存車がいることが大きなインパクトになると思うのである。
街の歴史を残していく、そういう意味でも、この地でこの電車が長く保存されて欲しいと思っている次第。

と、エラそーなことを書きながらも、本当は返礼品を見比べながらクラウドファンディングで支援したのだが...(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

あなたの「ポチッ!」こそが、励みになります。あっ、あと、「nice!」も。
にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。