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“ご神体”を見に、浜辺の終着駅へ(5)阿字ヶ浦駅 [ひたちなか海浜鉄道]

今回、茨城県方面に出かけようと思ったのは、阿字ヶ浦駅構内で保存されているキハを撮るためだった。1両の静態保存車、しかも過去に何度か撮っている。
かつては海水浴客で賑わった駅、海沿いと言うことは潮風で傷みが激しくて...。

北海道の炭礦鉄道の大事な生き残り、ちょっと心配していた保存車だったのだが、沿線団体が中心になって、このキハを“ご神体”とする「鐵道神社」を...とクラウドファンディングが実施され。<変態鉄>もホンの少しだけ支援したのだった。

目標額を達成し、先日、その神社の準備として車体の塗装修復が行われ。
青とクリームの塗り分けが美しく蘇った...と聞いて。その姿を記録しに行ったのである。

まずは那珂湊駅。

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【2021年6月17日14時11分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・那珂湊駅

こちらはキハ20形の最後の生き残り。広い意味での“20系ディーゼル動車”たちが活躍していた湊線で最後まで残った1両である。
ぜひ、単行で臨時列車に投入して欲しいと思っているのだが...

……  ……

2021年6月17日(木)晴れ

改札前の上りホームはかなり広幅で。かつて、手小荷物輸送や貨物の出荷があった時代の名残だろうか、昔ながらの...
<変態鉄>にとって本の中のモノクロ写真でしか見たことのない時代の雰囲気が残っているのである。

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【2021年6月17日14時11分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・那珂湊駅

でも、ただただ老朽化したまま放置している...という感はなく、下りホームは直されていて構内通路などもバリアフリー対応になっていて、そのあたり、古き佳き鉄道情景と現代の水準での使いやすさとが、うまく同居している印象。
好きな駅なのだが、何度も言うが列車別改札制なので、ゆっくり写真を撮る余裕が無いのである。

そこに入ってきたのは...

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【2021年6月17日14時12分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・那珂湊駅

イラスト入りの駅名板は、いまの湊線のシンボル的存在。“湊”の字のデザインは先日、3回忌を迎えた駅ネコ「おさむ」の姿だろうか??

今度の阿字ヶ浦ゆきは広告ラッピングのキハ3710形単行。車内は数名の乗客だけ。
そんな車窓で注目していたのが...

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【2021年6月17日14時20分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・第131列車(キハ3710-1号車)内

平磯-磯崎の直線区間にできた新駅、美乃浜学園駅である。今年3月に開業した駅は長い直線区間にある片面ホームの無人駅。車窓にはその駅名の由来になった学校の建物が見えていた。
周辺の小中学校の統合により、新しい学校ができて、その通学用に新駅という流れ。

イマドキの駅だが、この日は乗り降りする人もなく。

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【2021年6月17日14時26分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・阿字ヶ浦駅

ここを過ぎると、まもなく終点・阿字ヶ浦駅である。
この日の<変態鉄>の目的地でもある。

そのホームの向かい側、現在では使われなくなってフェンスで囲まれたところにキハが2両、佇んでいる。
手前側にいる青い車体がキハ222号。

再塗装が終わったばかりの美しい車体である。国鉄“20系ディーゼル動車”のうち、基本形式が那珂湊駅で撮った、そして水島臨海鉄道に残るキハ20形、エンジンを2基にした強力版が、いすみ鉄道のキハ52形、さらに北海道と北東北に投入された極寒地仕様がキハ22形。
平成の初めの頃、<変態鉄>も何度かチラッと見たことがあったが、ちゃんと撮ることは叶わず...

そして、国鉄の車両の図面、確か無断転用は禁止みたいなことが書かれていたはずだが、私鉄にも、国鉄のコピー品としか思えない車両が続々と。
尤も車両メーカーの提案とか、事情はアレコレあるのだろうが...あるいは、国鉄直通の運用があることから共通仕様の車両を用意したのか??
そのあたりの考察はマジメな<鉄>の皆さんに任せて。

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【2021年6月17日14時32分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・阿字ヶ浦駅

このキハ222号車は、北海道の羽幌炭礦鉄道の車両として1962年(昭和37年)に製造された。ただ、ちょうど折しもエネルギー転換の時期にあたり。新製から8年ほど、1970年には同線が廃線になり。車齢が若かったこともあってか、当時の茨城交通湊線に譲渡され。

本州用のキハ20形ではリノリューム敷というか、樹脂製の床が採用されているが、こちらは降雪地での運用を想定して床板が板張りであったり、あるいはドアを両端に寄せてデッキを設けて客室と分けていたり、何と言っても側窓が二枚窓の北海道用の耐寒耐雪仕様で新製され。茨交移籍時に改造されたが、でも、最後まで残ったのは国鉄型キハには存在しなかった「旋回窓」。
ワイパーが効かなくなるような豪雪になることはなかったと思われるが、半世紀近い茨城県での活躍中に外されることなく。現在も運転台窓に残っている。運転士さんにとっては運転中に、正直、目障りだったのではないか...と余計なことが気になってしまう<変態鉄>なのである。

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【2021年6月17日14時27分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・阿字ヶ浦駅

尤も、この車体塗色は、<鉄>としては正直言って違和感はあるのだが...

たぶん、国鉄時代の...いまキハ205号車が纏っている国鉄一般気動車色になる前の標準色(青3号+黄かっ色2号)をイメージしているのだろうが...
ひたちなか海浜鉄道での現役末期は、確かにこのカラーリングだったので、いま「鐵道神社」化に際して、このカラーで再塗装されるのは自然な流れ。
でも、国鉄色になったこともなければ、この車体色、国鉄の青系ツートンの旧色とは全然違う色合いでもあって。

まぁ、そういうところをグジグジ言っても...

美しい姿を取り戻してくれたことの方が嬉しいのだが。

写真を撮りやすいのは、ホームと駅舎の間の、かつての構内踏切だったと思われる付近だっただろうか。

ただし、海側(東側)を撮ることになるので、この、午後の訪問だと逆光なのである。

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【2021年6月17日14時28分】 ひたちなか海浜鉄道湊線・阿字ヶ浦駅

隣に居るのは、こちらは塗装が色褪せたまま。留萌鐵道からやってきたキハ2005号車。

こちらもキハ222号車とほぼ同時期に茨城交通に転入しており、国鉄キハ22形の同型車というのも。島原鉄道のヒゲ付き塗装を思わせる姿で。

う~ん、何かこちらも有効な活用策が見つかってくれれば...。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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