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晴れの国へ、置換え迫る個性派機関車を追う(4)1枚のダイヤグラムから [水島臨海鉄道]

水島臨海鉄道は去年、50周年を迎え。でも、10月のイベントは中止されてしまって。調子が悪かったのか検査だったのか、ツートンカラーの記念塗装車も今回の訪問では撮ることができず。
でも、この水島本線の歴史はもっと古く、戦時中に三菱航空機水島工場専用線として敷設され、戦後、水島工業都市開発に移管。終戦直後に専用線から地方鉄道になって一般旅客営業を開始、その後、倉敷市交通局鉄道線を経て、1970年(昭和45年)に水島臨海鉄道になっている。

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【2021年4月6日13時31分】 水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナル駅

1970年(昭和45年)といえば、<変態鉄>が生まれる8年前。この年は大阪万博があり、ちょうど新幹線が岡山まで延伸されようとしていた頃。
そんな時期、1970年2月に水島臨海鉄道が発足している。その翌月にリリースされたのがこの曲。

  「あなたならどうする」→ https://youtu.be/tdrvueZkq7Q

自分としては、

  ♪ 街の灯りが とてもきれいね 横浜

の方が好きなのだが、こちらは1968年末にリリースされている。

う~ん、懐かしい!! ← オマエ、生まれてないだろっ!!

そんな時代の“匂い”をちょっとだけ感じられるアイテムを倉敷市駅の窓口で購入した<変態鉄>だったのである。
……  ……

ある日、水島臨海鉄道のウェブサイト(→ こちら)に出ていた。

  【復刻ダイヤ】50年前の設立当時のダイヤを復刻・販売中!

1枚500円。1970年当時の“青焼き”を復刻したというアイテム。1枚500円で限定1,000枚と言うことで気になっていたのだが...。
無事、入手できたのである。

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水臨の公式サイトに説明があるとおり、駅名もキロ程もいまとはちょっと違うのである。

確か、当時の倉敷市駅は現在よりも水島寄り、駐輪場から“エセ複線区間”の、あのあたりにあったかと。
そして、球場前駅もいまよりも水島寄り、公園南側をはしる県道429号線との立体交差の手前あたりの築堤の上にあった筈。数年前に訪れたときには駅の痕跡と思しき“遺構”が残っていた気がするが。

倉敷市、球場前、西富井と駅名だけは変わらないが...

そのあとは、五軒屋、弥生、水島栄町仕訳所、水島と、いまとはちょっと違ったラインナップ。
このうち五軒屋は、福井駅と浦田駅の中間付近(の浦田寄り)、線路沿いのお宅の塀との間に妙にスペースがあって。あのあたりだったかと。
ちなみに、いまも並走する下電バスのバス停の名前には「五軒屋」が残っている。

倉敷市-水島間の閉塞方法が「タブレット」になっているのも今との違い。

先年、とうとう廃止され、線路の撤去が始まった西埠頭線にも8往復が設定されており。
そして、東水島と三菱自工前駅が開業するのは2年後の1972年、倉タは1984年だから、当然、このダイヤグラムには見当たらない。
代わりに「川鉄前駅」の表記があり。

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水島本線(この命名は1984年)の運行パターンも今とは全然違っていて。

なんと言ってもほぼ夜通し、早朝3時台などにも貨物のスジが引かれていて。
それだけではない。たぶん、第1列車は欠番で第2列車から始まる小さな数字が旅客列車だと思われるが、朝方は2運用あって、それらは西富井駅ですれ違う設定。
でも、第7列車(倉敷市 8:30発、水島 8:47着)の後、第8列車(水島 13:09発、倉敷市 13:25着)まで設定が無く。たぶん午後は1運用で同じ編成が行ったり来たりしていただけ。列車番号から推測する限り、旅客列車の最終は今より早い倉敷市 20時ちょうど発の第21列車。
現在、片道20~25分かかっている同区間を駅の位置は少し違うものの、当時は16分ほどで走破していたというのも、ちょっと驚き。

朝と午後・夕方に偏ったダイヤ設定というのは、工場への通勤輸送に特化していたという意味だろうか。
先述の「五軒屋駅」も、実は並走する路線バスに負けて1970年当時は休止駅で、ほどなく復活させることなく廃止された(1976年)。ほぼ隣接する位置に浦田駅が開業するのが1988年、その間にこの付近も宅地化が進展したということだろうか。

1枚のダイヤグラムとおまけのノートにある年表から倉敷の町の歴史を妄想してしまう<変態鉄>なのである。

一方、<鉄>としてドキドキしてしまうのは、上部の...

そう、直通の貨物列車もあるので、国鉄倉敷駅の列車も書かれている。
「旅客上り(国)」「旅客下り(国)」「貨物列車(国)」と。こちらはホントに多彩で。新幹線開業前の在来線輸送全盛期をいまに伝えるものである。

下り列車だけでも、0時過ぎには「急 207 熊本」、そのすぐ後を追って「急 209 都城」、その後も夜行急行が続き、早朝5時を過ぎると「特急 11 博多」「特急 13 下関」、これは特急寝台「あさかぜ」だろうか???
伯備線は「D」、山陽本線は「M」が付く列車番号、それぞれディーゼル動車と電車だが、それに混じって9:25発は「321 広島」などもあって。そう、山陽本線にも客車列車が残っていたのである。

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【2015年7月18日10時08分】 東北本線・東大宮-蓮田

こんな感じで...

でも、山陽本線なら青15号の近代化改造施工車、戦後製の43系などが中心だろうか??
すでに電化されて久しく、機関車もEF58あたりだったのだろうか?? 妄想は膨らむのである。

しかし...

50年経っても変わらないものも見つかるのがスゴいところ。

それは水島臨海鉄道の列車番号の付け方。

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【2017年10月15日8時44分】 水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナル駅付近

確か「川鉄前」というのは、いまの倉敷貨物ターミナルの先、線路が途絶えた先にあった駅。イベント時など自工前駅で降りて倉敷貨物ターミナルの入り口に向かうにはグルッと回らないといけない。その際に渡る現在使われなくなった踏切が「川鉄前踏切」だったと思う。
つまり、現在の倉タ-水島間の貨物列車に相当する列車には160番台の列車番号、水島から東水島に向かう列車には130番台の列車番号が付けられている。

現在と違うのは、水島が単なる途中駅になってしまった点。いまの線内貨物列車は、倉タ-水島-東水島で、小刻みに列車番号と進行方向を変えながら走っていることだろうか。

そんな、水島臨海鉄道の50年間の歴史を感じた後は...

……  ……

2021年4月6日(火)曇り

水島駅から歩いて三菱自工前駅付近へ。
便利になったもの。ある情報によれば、その<変態鉄>が狙っている線内貨物は14時過ぎに走るらしいのである。ただ、この線内貨物の宿命、積み荷がなければ運休になるわけで、そこは荷主の某大手メーカーの生産・出荷計画に関わる部分であり、部外の人間が知るチャンスはないのである。
つまり、この種の貨物列車を撮りに行くというのは、常にリスクを負っているわけで。

でも、ちょっと早く着きすぎたようで。

ということで、倉タの様子を“偵察”に...

三菱自工前駅から歩道はとうとう未舗装になって。雑草が生い茂る中を歩いて行く。途中、クルマの方が捨てたのだろうか、突然、足下には飲みかけのペットボトルやら弁当ガラやらが歩道に散らかっていて。足下を注視して油断せずに歩かないといけない...自分のような物好きな<鉄>くらいしか歩くことのない道である。

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【2021年4月6日13時31分】 水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナル駅

陸橋の下を潜ったあたりに「倉敷貨物ターミナル」の大きな看板があって、その少し先にいけば背の低いフェンスの向こうに水島臨海鉄道の車両基地が見渡せる。

時刻表上、水島止まりとなっている列車も大半は自工前駅を通過して倉タまで回送され、ここで折り返す。
(駅ホームでそのまま折り返すことも可能だが...)

ということで、MRT302号車。6両のうち2両だけがこの「白塗装」、あとは「ひまわり」で1両だけが「50周年記念塗装」になっている。<変態鉄>としては「ひまわり」よりこちらの方が気に入っているが、幸い、この日は運用に入っていたようで。
折り返し準備中。

そして、お目当ては...

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【2021年4月6日13時32分】 水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナル駅

朝の運用を終え、整備を受けているのはキハ30+キハ38の国鉄色編成。
屋根状の丸いグローブ型ベンチレータも、いつしか貴重なものになりつつあるようで。<変態鉄>の世代にはあたり前のものであっても、関東ではほとんど見かけることもなくなった。

エンジンは換装されているが、これぞ国鉄型キハという無骨な...、こうみると、キハ30形もかっこいいのである。

その後ろにいるのは...

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【2021年4月6日13時32分】 水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナル駅

「水島色」のキハ37の2連である。基本的に2両編成2本で、そのうち片方が運用に入る...というパターン。
本来、キハ30 100号車は予備車だが、この時期は幸いにも運用に入っていた。
2色の国鉄型キハだが、どちらかが運用に入ると基本的に数日間は同じ方が続けて運用に入ることになっており。この訪問時は朱色とクリームの「国鉄色」の方が運用入り。

この時点で後ろの洗浄線あたりにいた、ディーゼル機関車たちのエンジンがかかっている様子が無く。

出発40分前でエンジンがかかっている様子がない??

ちょっとずつ不安にはなるが...

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【2021年4月6日13時48分】 水島臨海鉄道水島本線・三菱自工前駅付近

再び自工前駅付近まで戻って。直後にやってきたのは先ほど出発準備をしていた白いMRT。
水島駅まで回送の上、13:51発の倉敷市ゆきとして運転される列車である。

さぁ、14時過ぎにお目当ての貨物列車がやってくるはず。

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【2021年4月6日14時08分】 水島臨海鉄道水島本線・三菱自工前駅付近

DE701号機だろうか、あるいは、DD500型機だろうか。いずれにせよ、水臨の機関車が牽いてくれると思うのだが...
さきほど見てきた倉タの状況はちょっと心配なものだったが、踏切機が鳴りだす瞬間を待ち構えたのだった。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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