夏の浅野川電車と「鉄印帳」（８）駅北のキューロク ＜前編＞

昨日は1回、お休みをいただいたこの話題。6月30日の朝、富山駅に到着して、最初に訪れようと思っていたのは駅北の公園だった。


【2022年6月30日8時38分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

キューロク、9600形蒸気機関車である。1913年（大正2年）に製造が始まり、770両が製造された貨物用機関車である。
大型ボイラーを搭載するため極端な胴長短足の外観、そして、最高時速65 kmという鈍足ぶり...

でも、3000トン級の貨物列車の引き出しができる力強さは他形式を以て代えがたい強みとされ、1976年の国鉄蒸気機関車の（保存目的以外での）運用終了まで活躍した。

“貴婦人”と呼ばれたC57形でも、特急列車の先頭に立って活躍したC62形でもなく、＜変態鉄＞が一番好きな蒸気機関車が、この、キューロク。

9628号機は、長らく、荒れ果てた状態で富山城址公園内に保存されていた。盗難だろうか、90年代初頭の時点でも正面のナンバープレートは失われており、全体に白っぽく見えるくらい埃っぽくて錆びも浮いて。
2017年頃、城址公園内の、その機関車周辺も工事用のフェンスで囲まれてしまい...

そのときは「万事休す」だと思ったが...。
新幹線開業に合わせる形で修復され、駅北の牛島公園で、高架化された、あいの風とやま鉄道線を見上げながら余生を送っている。その姿を...
……　　……

2022年6月30日（木）晴れ

高架の富山駅、アタマでは分かっているのだが昭和の頃からの、あの富山駅、いまも違和感が...

駅北口を出て左側、駅北電停があったところの空間、そのヨコは駐車場。そこの通りを線路に並行に左に進めば、まもなく右手に新しい公園が見えてくる。


【2022年6月30日8時38分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

そこに保存されているのが、9600形9628号機である。

広い芝生の中、上屋をかけてもらった状態で保存されており。やはり、ピカピカ。美しい外観を取り戻しており。
城址公園時代は赤プレートだった気がするが、ナンバープレートも黒地のものが新調されたのだろうか。


【2022年6月30日8時39分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

キャブへ立ち入れるようになっているのだが、その階段は道路側に設置され、いわゆる“公式サイド”に立って全景を撮ることができるような設定になっている。
これは、整備してここに設置しようとした市の担当者の中に＜鉄＞の知識がある方がいた...ということか??

上屋の支柱が写るのは確かだが、でも、斜め前方から引きをとった撮り方ができるのは理想的な設置方法である。


【2022年6月30日8時39分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

もう少し下がればサイドからの撮影も可能で。

窮屈そうに4個並んだ動輪、そのロッドには赤色が差されており。
背後、上の方に並んでいるのは高架化されたあいの風とやま鉄道線の架線柱である。新幹線の高架は、そのさらに奥にある。


【2022年6月30日8時40分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

リベットの目立つキャブ部分。裾の曲線もこの機関車の特徴である。区名札には「富」が挿されており。現役機と見間違えそうな状態の良さである。


【2022年6月30日8時40分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

反対側、非公式側のテンダー付近に説明板が設置され。この、蒸気機関車の構造を説明したボード、城址公園時代も似たようなものがあったような...
あの頃は読めないくらいまで朽ち果てていたが...

こちらも、新しいものになっており。あまりにもキレイなので背後の歩道のガードレールが写り込んでしまい、逆に見づらくなっているのは...


【2022年6月30日8時41分】　あいの風とやま鉄道線・富山駅付近

と、背後で電車の音。そうなると、振り返らずに居られないのが＜鉄＞の性（さが）。
ちょうどやって来たのは、ぬぁんと、413系。しかも漆黒の塗装の観光列車編成である。朝ラッシュに間合い運用が設定されていると言うことだろうか??
自分はキハに拘ってスケジュールを決めたので、413系はノーマークだった。


【2022年6月30日8時42分】　富山県富山市牛島本町・牛島公園

非公式側に回って、この機関車の様子をもう少し...（つづく）

（※）撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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