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2021年の阪堺沿線を歩いてみる(1)えびす町 <前編> [ちん電(阪堺電気軌道)]

「撮りに行こう」と思っている間に、阪堺電車を訪問したのも2020年正月の住吉大社初詣輸送を撮りに来て以来、1年9か月ぶりのことになった。
その間にも、阪堺電車の様子は少しずつ変わっており。

例えば、新型の1101形超低床連接車がデビューして...
でも、その最新鋭はこの日、運用に入っておらず、我孫子道車庫で休んでいた。

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【2021年9月19日12時32分】 大阪府大阪市浪速区恵美須東付近

現在の阪堺電車、上町線の方が“本線格”で、天王寺駅前-我孫子道-浜寺駅前というのがメインになっている。
一方で、阪堺線の恵美須町-住吉間は支線のような位置づけになって、20~30分間隔。なんだか年々寂しくなっていく感じ。
だから、恵美須町方面はなかなか撮りに行くチャンスがなく。

そんな中、コロナ禍が徐々に世の中に暗い影を落としつつあった昨年2月、恵美須町電停の移設が行われた。
路面上にある天王寺駅前と違って、こちらは私鉄電車のターミナル駅らしい構造だったが、100メートルほど移設され、棒線式の簡素な駅に生まれ変わったのである。

その新・恵美須町電停、この日が初訪問となった。

……  ……

2021年9月19日(日)晴れ

何しろ、12時に撮影会が終わってから20時のヒコーキまで何をして過ごすべきか、何一つ考えてこなかった自分である。
市交通局改め大阪メトロを撮ろうかと調べてみたが、「御堂筋線の定番撮影地」として挙がっていた西中島南方駅のホーム端は「撮りづらくなった」との情報もあって。
そのほか、よく見かける歩道橋から俯瞰で撮る撮影地は北急線内とのこと。大阪市の南の端から北の端への移動になって。コレは<ケチ鉄>としては...

結果的には、そのまま千里中央に出て早いヒコーキで帰るというプランも良かったのだが...

「何をしようかなぁ」と正午過ぎ、我孫子道電停に戻ると...

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【2021年9月19日12時07分】 阪堺電気軌道阪堺線・我孫子道電停

ちょうど待機していたモ605号車が、えびす町ゆきとして転線して上りホームへと入ってくるところだった。
「時間があれば行ってみようかなぁ」程度だった、恵美須町電停を訪れることにして。

「あべのハルカス」開業に合わせて天王寺駅前-浜寺駅前間の直通運転がメインルートになって以来、恵美須町-住吉間は徐々に運転本数が削減されて。1時間に2~3本と都市部の路面電車としては、ちょっとあり得ない運転本数になって。
どうしても撮影機会の多い上町線に足が向くようになって。

でも、そんな運転本数でも利用者は予想以上に多くて。新今宮駅前に着くころには立ち客もいるくらいになっていた。
JRのガードの下に新今宮駅前電停。ちょうど都電荒川線の大塚駅前に似ている感じだろうか。
そこを過ぎれば、あとわずか。北へ向かって直線区間を...

その途中に真新しいホームがあって、そこでプツリと線路は途切れており。
棒線状の片面ホームの、簡素な終着駅である。

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【2021年9月19日12時29分】 阪堺電気軌道阪堺線・恵美須町電停

フェンスの隙間からは駐車場に転用された旧線路用地が、何だか寂しげな雰囲気である。大阪中心部、大通り(堺筋)を挟んだ向こうには通天閣が聳える場所なのだが...

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【2021年9月19日12時30分】 阪堺電気軌道阪堺線・恵美須町電停

線路が途切れた、車止めの先が通路になっていて堺筋の歩道に出られるのだが、これがまた...
う~ん、何とも言えない。簡素過ぎて駅の出入り口という感じが全くないのである。

……  ……

逆に、ダイヤに余裕があるのでイベント列車の発着には恵美須町がよくつかわれていた。むしろ、自分が恵美須町電停を訪れるのは、そういうときくらいだっただろうか。

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【2016年9月17日9時19分】 阪堺電気軌道阪堺線・新今宮駅前-恵美須町

ちょうど5年前の2016年9月、モ161号車で行く我孫子道車庫の撮影会...のような募集制のイベントがあって。そのとき、モ161号車を撮るのにカメラを向けた場所が、偶然、先ほどの写真とほぼ定点比較になっているような気がする。
一直線にのびる線路、おりしも終点・恵美須町電停に到着しようとするところのモ504号車。オレンジ色の雲塗装だった。

いま駅ホームがつくられたあたりも複線の線路の両サイドは生活感のある...典型的な大阪の下町の住宅が建ち並んでいた。家の前の道路で遊ぶ子供たちの声を聞きながらの撮影だったような気がする。
鋼材の架線柱の下部をコンクリートで覆ったタイプの支柱は、阪堺沿線では標準的なもの。これも、確かかなり歴史のある架線柱だったような...

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【2016年9月17日9時59分】 阪堺電気軌道阪堺線・恵美須町電停

さて、当時の恵美須町電停、すでに運転本数はだいぶ少なくなっていたものの、2本の発着線があって。その昔はさらに平野線の発着ホームや留置線もあったそうで。私鉄電車のターミナル駅にふさわしい規模の駅だったと思われる。

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【2016年9月17日11時43分】 阪堺電気軌道阪堺線・恵美須町電停

使われなくなって久しい感じではあったが、西側の臨時改札口のラッチも姿を留めており。その改札ラッチも歴史を感じさせるが、ホーム上屋の木製支柱も“ターミナル駅”にふさわしい重厚感があった。

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【2016年9月17日12時42分】 阪堺電気軌道阪堺線・恵美須町電停

そして、ホームの下り方先端には2階建ての木造詰所もあって。信号扱いもここで行っていたのだろうか。でも、すでに当時は2本のホームのうち片方で足りる状態だった。

紹介した通り、この写真から4年後に、この味わい深いターミナル駅は解体され。駐車場になった後、現在は工事用のフェンスで囲まれた状態になっている。
何でも、阪堺の親会社でもある南海が中心になって、この地区の再開発を進めるのだとか...旧駅を撤去して100 mほど路線を短縮したのも、その兼ね合いもあるといわれており。

東急世田谷線の三軒茶屋駅を思い浮かべてしまう。三軒茶屋駅も“人参塔”建設のために移転したのだった。自分はベニヤ張りの仮設ホームから毎朝、高校に通った。
大阪ミナミの中でも特にディープなエリアとして知られる、この付近も、また数年後に訪れるときには、オシャレな街に生まれ変わっているのだろうか?? よそ者の我儘を言うなら、このままでいて欲しいと思ってしまう。

ということで、恵美須町の“今昔”、明日ももう少し。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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