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北条へキハに会いに(12)撮影会の楽しみ [北条鉄道]

人数が限定されていたことと時間がじゅうぶんとられていたこともあって、北条町での撮影会はのんびりムードで展開した。
残念ながらスペースに限界があって、形式写真的な撮り方はほとんどすることができなかったが、それでも、<変態鉄>としては「アテが外れた」感は全然無くて。

こういう撮影会のとき、自分は写真撮影の時間は撮影タイムの半分程度...と思って訪れることが少なくない。現場の鉄道マンの皆さんに質問するのも楽しみの1つ。まぁ、邪魔にならない程度...に留めないといけないので、そこだけは要注意だが。

そういう意味では中小規模の事業者の撮影会の方が面白い。
大手だと本社広報課などの担当者が中心で、現場らしい話を聞けなかったり、外部のイベント会社のアルバイトスタッフが会場を動かしていたり...
でも、地方私鉄などでは現職の皆さんが作業服姿で...。鉄道誌やネットに出ているのとは違った形で、車両のことや、路線のことをいろいろと聞くことが出来て。

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【2022年3月5日13時26分】 北条鉄道・北条町駅

今回の北条鉄道の撮影会では、キハ40形購入を実際に担当者された若手社員の方もいらして、車内見学の前後に「質問タイム」のような時間が設けられ。
「なぜ、いまキハ40形を購入することになったのか??」「多数の廃車がでている秋田支社のヨンマルから、なぜ、535号車を選定したか??」など、いろいろと伺えて。
運用開始後、沿線でカメラを構えているだけでは知ることのできないお話を伺えただけでも、この日、北条町に行った意味があったということ。

1時間半のイベント、自分は後半の30分間が車内見学タイムだった。撮影タイムも終盤にさしかかり、休憩している人も目立つ中で...
……  ……

2022年3月5日(土)晴れのち曇り

全線単線の北条鉄道、長らく、途中駅での上下列車の交換ができない仕組みだった。粟生駅でのJR加古川線との渡り線も撤去され、1面1線の棒線式になっているので、線路配置で言えば北条町から見て粟生に向かって完全なる“袋小路”だった。
つまり、1列車が行ったり来たりするだけのダイヤ。幸い(?)、全線で13 kmほど、片道30分かからないので1両だけでの運転でも1時間ヘッドでの運転が可能で。

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【2022年3月5日13時27分】 北条鉄道・北条町駅

フラワ2000形も、日中は、1両だけが運用に入って、あとは北条町で休んでいる。この日は緑色の3号車が運用入りして紫色の2号車は検査入場中。赤色の1号車は休んでいるのだった。

撮れる場所が限られる分、撮り方が限定されてしまったこの日の撮影会。

そんな中で、ちょっとしたチャンスが。
撮影会の途中、隣の線路を、フラワ2000-3号車が第623列車として13:32に到着し、折返し、39分に第624列車として発車する。瞬間的ではあるが、両車の並びシーンが撮れるチャンスであって。

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【2022年3月5日13時26分】 北条鉄道・北条町駅

まず、粟生からの第623列車が定刻通りに到着。

お互いにカメラのポジションを相談して...、決して揉めるようなことはなく。譲り合って...。そして、13:39、第624列車が発車するところを狙って。

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【2022年3月5日13時40分】 北条鉄道・北条町駅

ベストショットとはいかなかったが、普段、撮ることができないポジションからの貴重なカットである。

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【2022年3月5日13時42分】 北条鉄道・北条町駅

自分のグループの撮影タイムは14時まで。撮影も最終盤に差し掛かり...

さて、今回の撮影会。<変態鉄>として気になっていたのは、冒頭に書いた2点でもあった。

1978年生まれの自分とキハ40形は同世代、この535号車とも1歳違い(1979年 新潟鐵工所製)。鉄道車両として製造から40年というのは“高齢”の部類に入る。「レトロ車両による観光客誘致」を目的としたものでは無く、「増発による車両不足解消」という目的であれば、何もこれほど老朽化した車両にこだわる必要は無かったはずで。

車内見学の前に質問してみたら...

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【2022年3月5日13時46分】 北条鉄道・北条町駅

実は今回の導入に当たっては、全国の、ディーゼル動車を保有する鉄道事業者に広く打診してみたそうで。すぐに譲渡可能なディーゼル動車として返事があったのは、JR東日本秋田支社の他にも何社かあって。
当初、“本命”だったのは運行方式の変更で余剰になっていた四国の3セクのディーゼル動車だったとのこと。その車両増備のキッカケになった法華口駅の交換設備設置が、逆にネックになって。

法華口での閉塞方式は、運転士さんが、線路沿いに設置されたカードリーダに専用のICカードをタッチするという何ともイマドキの方法だが、その際に、どうしても確認のために乗務員が車外に出る必要が生じるケースがあって。
その際、乗務員扉がなく客扉を開けて乗務員が乗り降りする必要がある車両だと「営業列車が駅ホーム以外で客扉を開ける必要がある」という点が問題視されて。

急転直下、秋田のキハ40形に決まったとか。

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【2022年3月5日13時47分】 北条鉄道・北条町駅

でも、全国に880両余りが投入されたキハ40系。いろいろな仕様のものが混ざっており。いっしょに購入する形になった小湊鐵道はコイルバネ台車を履く車両を選定するという方針だったそうだが、逆に、北条鉄道はエアサス台車の個体を選定しており。

これは、従来のフラワ2000形も空気バネ台車だから...とのこと。やはり、ノウハウのある台車が良かったようで。
その中で535号車を選んだのは検査周期の関係の他、車輪の状態も見て。そう、鉄のレールの上を鉄のタイヤで走るので、当然、車体の重さもあってタイヤは摩耗するわけで、時折、タイヤ交換がある。その周期を遠ざけるためにも、見に行った時点でタイヤが肉厚のものを選んだ...ということもあったとのこと。

エンジン換装車なので機器類の部品供給はあまり心配ないのだそうで。車齢自体は新しくても、フラワ形の方が製造元の富士重工が鉄道車両から撤退していることもあって、補修部品は先になくなるかも知れない...と、趣味者が勝手に心配しているのとは逆の心配のよう。

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【2022年3月5日13時54分】 北条鉄道・北条町駅

小湊キハ40形が、塗色を除けばJR時代の痕跡を消しているのに対し、このキハ40 535号車はできるだけ秋田支社時代の姿を残したスタイルで運用するとのことで。もちろん、徐々に“北条仕様”に変わるのだろうが...

それでも、秋田の頃と変わっている点は...。ひとりで撮っていたら絶対に気づかない。
目立つ変化はワンマン用ミラーを設置した点。

でも、細かい点ではいろいろ。1つは、片側だけスノープロウを外したこと。これはトレーラ輸送の際に支障するから、ということらしく。2つ目は、幌の取り付ける向きを変更したこと。旧トイレ側が粟生側を向いているのだが、秋田支社時代のままだと、こちらが幌、反対側(北条町側)が、幌枠になる筈だった。でも、試運転の際に幌が邪魔になって一部の信号機が見えづらいと分かったため、幌の付ける向きを反対にして、下り方に移設しているとのこと。
ただ、車内の路線図などは秋田のものを当面、そのままにするそうで。このあとの車内見学では、中吊りを含めて五能線のものがそのまま残っている状態だった。(一部は撤去)

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【2022年3月5日13時59分】 北条鉄道・北条町駅

というわけで、<変態鉄>のグループの車内見学タイムが始まるということで、反対サイドの扉前に集合するように召集がかかったのだった。
こちらは、幌付きの顔。自分はキハを撮る際には幌付きの厳めしい感じの方が好きである。

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【2022年3月5日14時01分】 北条鉄道・北条町駅

さぁ、諸注意の後、車内見学開始。運用開始前(当時)の車内に入れる貴重な機会である。(つづく)

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