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阪堺電車「旧海道畑駅撮影会ツアー」2023.3.16(4) [ちん電(阪堺電気軌道)]

浜寺公園というのは、サクラの名所としても知られているのだそうで...
遊戯施設もあり、自然を楽しめる部分もあり、スポーツ施設もあり...堺市と隣の高石市にまたがる広大な公園である。その堺市側の入口にあたる位置に南海電車の浜寺公園駅、そのすぐとなりに阪堺電車の浜寺駅前電停があって。

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【2023年3月16日12時32分】 阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

その浜寺公園、かつては、松林の続く海岸だったのだそうで。江戸時代中頃に防潮林として地元の農民が松を植えたのが始まりだとされる。明治維新に前後して、新田開発で伐採が進んだそうだが、大久保利通がそれを知って、伐採を止めさせたのだとかそうでないとか。

大阪湾に面した松林と砂浜。昭和初期にかけて別荘地と海水浴場として知られたのだそうで。
いまでこそ、寂しくなった阪堺電車の堺市内区間だが、当時は、夏になると多くの乗客が阪堺電車で、この浜寺公園電停へ、あるいは、途中にあった「海道畑」へと海水浴にやってきたのだという。

この付近が海水浴で賑わったのは、モ161形車が、まだ新型車として活躍していた頃だろうか。いや、その頃なら、モ161形車は混雑激しい平野線の通勤輸送が中心だったのだろうか??

浜寺駅前電停も、まもなく移転のため姿を消すことになっており。せっかくだから、周辺の今をちょっと記録しておこうと。

……  ……

2023年3月16日(木)晴れ

阪堺電車を撮りに来ても、最近では、肝心のモ161形車が我孫子道以北の大阪市内区間を往復し続ける運用に当たることが多く。なかなか堺市内区間...特に、その終端にあたる浜寺まで撮りに来る機会は少なかった。

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【2023年3月16日12時35分】 阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

でも、浜寺公園の正面入口(?)の前から見えるこの風景、まもなく見納めになる。奥に見えるのは東京駅赤レンガ駅舎を設計した辰野金吾事務所の“作品”でもある浜寺公園駅舎(高架化に伴い使用終了後、カフェとして保存されている)、手前の建物が阪堺電車の浜寺駅前駅舎。

この風景が消えることになるわけは、堺市南部の石津川以南の南海本線も高架化工事。

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【2023年3月16日12時38分】 南海電気鉄道南海本線・浜寺公園駅

でも、それでネックになったのが阪堺電車。
ずっと南海本線が海側、阪堺電車が内陸側を走ってきたのが、最後の最後、浜寺駅前に到着する直前に南海本線をオーバークロスして海側に出る。ここが高架化に支障するわけで。

紆余曲折あったみたい。当初は、阪堺線を地平に下ろして南海本線と逆になるようにした上で、いまの浜寺駅前電停に到着する...というプランも検討されたようだが、そうすると、阪堺電車は南海の高架化が終わるまで、ずっと船尾〜浜寺間で運転できなくなる。

ということで、その南海電車をオーバークロスする付近から南海電車の東側(陸側)に新しく線路を敷いて、浜寺公園駅の東側に至る“新線”にルート変更することで決着、当初予定では今年辺りから阪堺電車の線路移設工事が始まるような感じだったが...(予定よりだいぶ遅れているみたい)

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【2023年3月16日12時40分】 南海電気鉄道南海本線・浜寺公園駅

一連の工事が始まる前の浜寺公園駅は、その大正時代から高度成長期にこの付近が工業地帯化されるまで、海水浴客と別荘利用者で賑わった時代の名残が…
独特のホーム配置、ホーム上の待合室なども、私鉄の中間駅とは思えない豪華なつくりだった。その時代、一度だけ利用したことがあったが、ちゃんと写真を撮っておこうという考えはなく...う〜ん。

いまの浜寺公園駅は、見事なまでの仮駅舎。丸ポストがちょっとアンバランスなアクセントである。

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【2023年3月16日12時41分】 阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

阪堺電車は、昭和40年代のワンマン化に合わせて「駅」制度が廃止されており。それでも、こういう木造駅舎はいくつか残っていた。
恵美須町が再開発でなくなり、「阪堺らしい駅舎」というのも、ここが最後だろうか。まぁ、住吉公園駅舎が残っているが...

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【2023年3月16日12時42分】 阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

この「駅舎」、長らく定期券窓口としえ使われてきたが、最近の情勢もあって、営業時間はどんどん縮小されており。なんだか寂しい感じである。

土休日の日中は12分間隔で電車が発着する。

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【2023年3月16日12時44分】 阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前電停

ちょうど、天王寺駅前からの電車が到着。先ほど、大和川の築堤で撮った芋忠の広告電車、モ603号車である。
先行電車が駅舎側のホームに居ないときは、ポイントを通過してこの先のホームに入ってから停車し、乗客を下ろす。

電車は電停に入るところのポイントの手前に来たところ。線路際の柵が途切れている箇所は、実は降車ホーム。道路とまったく区別がつかないのだが...
先行電車と近づいており、前の電車がまだ駅舎のある方のホームに居るときは、とりあえず、ここで降車扱いをしてから待機する。

さて、この写真、後ろには広々した感じの複線の軌道が続いている。その先、目を凝らすと踏切が見える。その踏切を過ぎると線路は急な上り勾配、南海本線の線路をオーバークロスする。

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【2023年3月16日12時47分】 阪堺電気軌道阪堺線・浜寺駅前-船尾

その踏切のところまで歩いてみた。

急勾配の先、線路は右にカーブして住宅の屋根の裏に消えている。ただ、よく見れば赤色の鉄橋が少しだけ見えている。
あの橋が南海本線を超える地点。そして、この写真で正面に当たる位置、ちょうど線路がカーブに差し掛かるところに、建設現場にあるような赤いコーンが置かれているのが見える。そこが、旧「海道畑」電停。阪堺電車の“七不思議”といえそうな、ちょっとミステリアスな廃駅なのである。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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