SSブログ

中京の3セク路線を巡って(13)伊勢鉄道 <前編> [3セク鉄道「鉄印」の旅]

この日の「鉄印」蒐集、最後は伊勢鉄道にした。東京の人間から見れば「名古屋の近く」なのだが、実は意外と距離があって。しかも「鉄印」を購入できる鈴鹿駅の窓口営業時間が短く。
名古屋のホテルをベースに動き回ることを決めたとき、この伊勢鉄道と明知鉄道、そして、樽見鉄道の3つがプランを決める上で迷いに迷ったところだった。本当は、岐阜駅前でモ513号車を撮った後は大垣に移動して樽見鉄道を“攻略”する予定だったのだが、岐阜駅への到着が予定より、かなり早くなったので、鈴鹿駅も間に合うとわかり。
急遽、名古屋方面の電車に乗ったのだった。

131_msi00003688.JPG
【2022年1月8日14時12分】 東海道本線・名古屋駅

それにしても、JR東海というのは...
学生だったときは、特に在来線に関しては趣味的楽しみに乏しい路線だと思っていた。東海道新幹線という“ドル箱”の存在、東西日本に比べての営業エリアの狭さ、車両もどんどん国鉄型が消えてステンレスにオレンジ色の帯の車両に統一されて...
でも、最近、その見方が変わってきており。車両の設備などにバリエーションを持たせる代わりに、同じ形式を大量に投入して...という313系などがその典型か!?
実は、趣味的な観点から見て“最も国鉄っぽいJR”というのが、国鉄の精神を受け継いでいそうなのが東海ではないかと。しかも、車体表記の文字(フォント)など細部を見れば、国鉄からの伝統が受け継がれていたり...。
新しい特急「ひだ」も気になっている<変態鉄>なのである。

さぁ、1月8日の午後、<変態鉄>は関西本線に乗り換えて...
……  ……

2022年1月8日(土)晴れ

132_msi00003689.JPG
【2022年1月8日14時12分】 東海道本線・名古屋駅

岐阜駅を13:43発の大府ゆき、第3330F列車は名古屋駅 14:10着。
隣のホームに停車していたのは、14:20発の岐阜ゆきだろうか。この駅で10分停車して後続の快速電車に道を譲る。

131_msi00003688.JPG
【2022年1月8日14時12分】 東海道本線・名古屋駅

この311系電車、いまでは岡崎-岐阜の普通電車で余生を送っているが、自分が趣味活動を本格的にスタートさせた1991年頃は、JR東海の“エース”的存在だった。

岐阜に行くときは新幹線で名古屋、まだ、ひかり号が半分ほど新横浜駅を通過していた時代である。100系が最新型だった。名古屋駅で降りて東海道線で岐阜まで。当時は新快速電車が311系、稲沢駅にも停まる快速が主に117系、普通が113系だった。非冷房車は見かけなかったが113系は窓隅にRが付いた初期型車も混ざってきていたかと。
まだ「国鉄型」などというコトバもなかった90年台初め、明るいグレーのモケットの転換クロスシートが並ぶ車内、車端部には、まだ珍しかったLED表示器がつき(確かオレンジ色単色)、そして、テレホンカード式の車内公衆電話...
特急料金がかからない列車なのに、スゴい電車が走っている...と、<変態ガキ鉄>は驚くしかなかったのだった。

早いもので、それから30年、廃車も始まったようで。何だか寂しいものだが、そんなことに時の流れを感じてしまうのである。

133_msi00003690.JPG
【2022年1月8日14時14分】 関西本線・名古屋駅

さぁ、いったん階段を下りて関西本線ホームへ。

発車時刻の迫る四日市ゆき、第329G列車も比較的、混雑しており、<変態鉄>が乗る、次の快速「みえ13号」の自由席乗車位置には既に長い列ができており...う~ん。
快速「みえ」号は太多線で乗ったのと同じキハ75系2連。発車20分前、14:16頃にドアが開くと一気に殆どの席が埋まって。手元のメモには「キハ75-102」と。幸い、進行方向左側の窓側を確保。関西本線を南下する列車、左側の席は東に面するので陽射しでカーテンを下ろすことはないだろう...という、<乗り鉄>としての計算の上。
新幹線が遅れていると言うことで、2分ほど遅れて名古屋駅を発車。3ドア車ということもあるのか、ドア横に立っている人も多く。

でも、最初の停車駅、桑名駅で下車する人も多く。富田-四日市-鈴鹿と工業地帯らしい車窓が続く。途中、貨物側線が確認できたり、三岐鉄道やDD200型牽引の貨物列車と並走したり...<鉄>としては楽しい時間を過ごすことができた。車内改札の車掌さんに「青春18きっぷ」を示して伊勢鉄道線内の乗車券を購入し...

134_msi00003691.JPG
【2022年1月8日15時18分】 伊勢鉄道伊勢線・鈴鹿駅

名古屋から40分、鈴鹿駅には14:17着。ちょうど向かいのホームから「みえ14号」も発車して。とはいえ、この駅で交換したということではなく、伊勢線はJRと分かれる河原田駅から中瀬古駅まで約半分の区間が複線になっており。
そう、この朝、訪れた愛環線と同様、国鉄の特定地方交通線から転換された3セク鉄道とは思えない立派な...

135_msi00003692.JPG
【2022年1月8日15時19分】 伊勢鉄道伊勢線・鈴鹿駅

そんな鈴鹿駅。駅周辺には目立った建物はなく、とにかく広い。駅前には簡素なロータリーはあるが、ぱっと見にはコンビニすら見当たらず。ちなみに、F1グランプリなどで有名な鈴鹿サーキットは、2つ先の鈴鹿サーキット稲生駅が最寄りになる。
何だか水島臨海鉄道の途中駅ともちょっと似た感じ。何とも...本当に味気ない、無機質なコンクリート製の高架駅である。開業から50年、昭和の頃の駅である。そう、機能性だけ、あらゆる飾りを廃して。

136_msi00003693.JPG
【2022年1月8日15時25分】 伊勢鉄道伊勢線・鈴鹿駅

階下に下りれば、何だか懐かしい書体の案内看板。そのほか、薄暗いコンコースの一角には開業当時のヘッドマークなどが飾られ。

さて、この伊勢線。実は愛環線ともよく似た点もあって。いわゆる「公団C線」として1960年台に工事が本格化した路線の1つなのである。そう、国鉄の路線としては最後の方の開業である。旧国鉄伊勢線、1973年(昭和48年)に開業している。

137_msi00003694.JPG
【2022年1月8日15時25分】 伊勢鉄道伊勢線・鈴鹿駅

そもそも、関西本線と紀勢本線の分岐点は内陸の亀山駅であって。名古屋から伊勢、鳥羽、そして尾鷲、新宮、紀伊勝浦へと運転される列車は長らく、四日市からいったん内陸へと進み、亀山駅で紀勢本線へと入り、再び海沿いの津に出るという「く」の字型のルートだった。
その四日市(分岐点は2つ先の河原田駅)から津駅までをショートカットする路線としての建設だった。ただし、そういう理由で線内利用があまり望めない上、近鉄に惨敗していて相手にならない位の状況だった名古屋・大阪-伊勢・志摩間の乗客数、ローカル列車も優等列車(特急「南紀」)も1日数本しか設定されなかったため、伊勢線単独で見れば超赤字路線ということになり。
廃止・転換対象の特定地方交通線へと指定される憂き目に...

本当だったら、この伊勢線を紀勢本線の一部として建設し、開業後は起点を河原田駅に変更し、亀山-津を枝線扱いに変更する...などした方が、本来の建設の目的にも合致するし、それなら、いまもJR線だったはず。
鉄道敷設法をはじめ、国鉄路線の開業までには様々な事情が絡むもので...、大きい組織だったから仕方なかったかも知れないが、こういう融通の効かないところが...。

さて、薄暗いコンコースの先にある小さな事務所で「鉄印」を。

138_msi00003702.JPG

自分の他に「みえ」号でこの駅で降りた2~3名の方も、“同業者さん”だったみたいで...

ここも、いわゆる「置き印」型。でも、ビニール袋に入れられた「鉄印」、さりげなく伊勢鉄道の時刻表の冊子が同封されており。そう、「鉄印」を買いに来る人は、地元客より圧倒的に遠来の<鉄>が多いはずで。
自分のように「鉄印」がなければ伊勢鉄道を訪れることがなかった者が大半だと思う。だからこそ、時刻表を同封しておいてくれるというのは、ちょっとした記念になるばかりでなく、大したことでなくても、ちょっとした<鉄>へのサービスになるのではないか、と。

ちょっと嬉しくなったのだった。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

あなたの「ポチッ!」こそが、励みになります。あっ、あと、「nice!」も。
にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。